日米各球団のスカウトも注目。防御率0.78の本格派右腕

　5月3日の神宮球場。東都大学リーグは1部と2部の4試合が行われるという日程だったが、午前の早い時間から、日米各球団のスカウトがネット裏にずらりと並んでいた。お目当ては、二部の立正大の黒木優太投手だ。

　この日、立正大は青学大と対戦。先発のマウンドへ上がった黒木はこの日も150キロを超える速球とキレのあるスライダーを駆使して好投。ややスライダーの切れが悪かった、ということで10安打を許してランナーを背負う投球を強いられたが、要所を締めて9回を1失点で投げきり、完投勝利。

　黒木はここまで4試合に登板して、34回2/3を投げて防御率0.78。奪三振は34を記録するなど高いレベルでの投球を続けている。

投手になったのは高校2年時。計り知れないポテンシャル

　神奈川県出身の歳。橘学苑高では3年時に県大会3回戦で東海大相模高と対戦し、146キロを記録するなどして一躍注目を集めた。身長180センチの長身から投げ下ろす速球が武器の右腕だが、ピッチャーを始めたのは意外にも高校2年のとき。

　地肩の強さを評価され、外野手から転向。その後めきめきと実力を付け、3年夏にはプロからも注目されるようになる本格派投手へと成長。

　残念ながら12年のドラフトでは指名から漏れ、かなり悔しい思いを味わったそうだが、その悔しさを成長への意欲へと変え、大学1年時から立正大の先発投手を任され順調に成長を続けてきた。

　二部優勝のかかった5月5日の対青学大3回戦でも先発があるか、と思われていたが、1回戦でベースカバーに入った際に転倒し、右肩に違和感を覚えていたことが理由で、黒木は登板を回避。チームも敗戦となり、1勝2敗で勝ち点を青学大に献上する形になった。

　それでも勝ち点3で青学大と並び、勝率で優位に立っている立正大。5日の試合で黒木はブルペンでの投球練習を行っており、幸いなことに違和感は重症ではなさそう。次のカード、5月17日の対国士舘大1回戦での先発登板が濃厚だ。

　今秋のドラフトで指名が予想される大学生投手の1番手は、創価大の田中正義という評価が定着している感もあるが、この後の活躍次第では黒木がそれに並ぶ評価を受ける可能性もある。ドラフトでの複数1位指名も現実味を帯びてきた。プロから熱い視線を送られる黒木、そして立正大の戦いぶりに注目だ。