ロッテでプロ入り。将来を期待されるも…
プロ野球界でも珍しい「左投右打」の西武・竹原直隆。5月5日のオリックス戦で、岸田護が投じたやや内角寄りのボールを、弾丸ライナーで西武ファンが密集するレフトスタンドに放り込んだ。この本塁打が、竹原にとって移籍後初本塁打。ちょうどこどもの日のデーゲームで、スタンドは3万人を越える状態。その中で竹原は持ち味である長打力を発揮した。
竹原にとって、今季からプレーする西武は3球団目のチームだ。城西大、三菱自動車岡崎を経て2004年のドラフト会議でロッテから指名を受け入団。
1年目の05年にはイースタンリーグで23本塁打をマーク。同期入団の大松尚逸とともに、将来の和製大砲候補として嘱望される。2年連続イースタンリーグ本塁打王と着実に二軍で結果を残していくと、07年にはプロ初本塁打を放つなど、66試合に出場して8本塁打をマーク。
中でも左投手に対しては無類の強さを見せ、左投手が先発する際には3番打者を任されるほどであった。一軍に定着しここからレギュラー奪取と行きたい竹原だったが、大松、サブロー、ベニーと層の厚い外野陣の中でなかなかレギュラー完全獲得とならず、成績も大松と大きく差をつけられる結果となる。
10年になると荻野貴司、清田育宏のルーキー、二軍から昇格した岡田幸文が台頭と竹原の出場機会は失われていく。そして翌11年シーズン途中、オリックスへ移籍することとなった。
オリックスを戦力外となり、今季から西武でプレー
オリックスでは主に代打、指名打者での出場となったが、なかなか出場機会に恵まれない日々が続く。そんな中、14年5月6日の古巣・ロッテとの一戦は良くも悪くも竹原が目立った試合となった。この試合、左腕の古谷拓哉が先発とあって、竹原は「4番・左翼」で起用された。
しかし初回、先頭打者・荻野の放った打球を処理しようとした竹原だったが、人工芝に足を滑らせ捕球する前に転倒してしまう。ボールが後方へ点々とする間に荻野は生還しランニング本塁打となった。守備でミスをした竹原は、バットでその借りを返す。
1点リードで迎えた3回、古谷からソロ本塁打を放ち、竹原の一振りはリードを広げる貴重な一打となった。昨年は移籍後最多出場となる41試合に出場するが、オフに戦力外通告を受けた。他球団のプレーを模索した竹原は西武の秋季キャンプにテスト生で参加。紅白戦で結果を出し入団を勝ち取る。
今季は4月22日に一軍登録されると、同日の楽天戦に代打で途中出場。8回には一時は勝ち越しとなる2点タイムリーを打ち、移籍後初安打、初打点をマークしている。
西武では大学時代の同期・渡辺直人、竹原同様にテスト生から入団を果たした木村昇吾、西武一筋14年の上本達之とともにチーム最年長となる。持ち味である長打力を武器に、竹原は新天地・西武で再起を誓う。