12球団の正捕手、言える?
「強いチームに、名捕手あり」…。これはよく言われる、いわば球界における定説のようなものだ。
グラウンド上の指揮官、女房役、頭脳、扇の要などなど...様々な呼び名を持ち、野球で最も重要なポジションとも言われるポジション:捕手。ところがこのポジション、近年では日本の“弱点”となりつつある。
現在のプロ野球で、現役最高の捕手といえば誰なのか…。パッと名前が浮かぶ人はいるだろうか?
まずは2016年シーズンここまでの時点で、各球団最も出場している捕手を見てみよう。(※データは5月10日時点のもの)
【12球団の正捕手】
ソフトバンク:鶴岡慎也(24試合)
日本ハム:大野奨太(24試合)
ロッテ:田村龍弘(34試合)
西武:炭谷銀仁朗(33試合)
オリックス:山崎勝己(22試合)
楽天:嶋基宏(31試合)
ヤクルト:中村悠平(37試合)
巨人:小林誠司(34試合)
阪神:梅野隆太郎(19試合)
広島:石原慶幸(22試合)
中日:杉山翔大(20試合)
DeNA:戸柱恭孝(34試合)
併用が目立つチームもあるが、ひとまず出場数が多い選手を正捕手として一人ずつピックアップしてみた。
見てみるとそれぞれに特徴があり、どの選手もいい選手であることは間違いない。ただし、いまひとつピンと来ないというのもまぎれもない事実だろう。
いつの時代も「強いチームには名捕手がいた」
古田敦也や城島健司、谷繁元信といった平成の名捕手たちがユニフォームを脱いでからというもの、今はいわゆるひとつの“過渡期”を迎えていると言えるだろう。
さらにその前、昭和を支えた偉大な捕手たちに比べると、さらにスケールの差を感じてしまう。
過去に連覇や黄金期と呼ばれる時代を戦ったチームには、やはり名捕手が存在した。例えば常勝南海を支えた野村克也氏はその代表的人物だろう。さらに巨人のV9時代には森昌彦氏。強かったライオンズの全盛期には伊東勤。この名前だけでも、その重圧感は半端じゃない。
現代の捕手たちから感じる若干の“物足りなさ”。その大きな要因が、「打撃力の乏しさ」にあるのではないか。
現代の捕手にまず求められるのが、守備力であり配球の巧みさ。まずはホームベースを守るものとしての能力と、投手をコントロールして試合を作る能力が第一にある。
そのため、打撃は二の次だ。現代の捕手たちはこぞって下位打線に名前を連ねており、途中で代打を送られるケースなんかも珍しくないことから、規定打席に到達している選手の方が少ないという状態。規定到達で打撃成績に名前が載ったとしても、下から数えた方が早いくらいのところにいることが多い。
いよいよ来春に迫ってきたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)のことを考えても、「捕手不足」は深刻な問題だ。第1回は里崎智也、第2回は城島健司、そして第3回は阿部慎之助と、思い返せばいつの時代も名捕手が日本代表を支えていた。
来年の春、日本のホームを守るのは一体誰か…。名捕手の誕生に期待を寄せながら、2016年シーズンを見守っていきたい。