今やセを代表する投手に...
巨人のエース・菅野智之が止まらない。
今季は8試合に登板して4勝0敗。防御率は0.68というとてつもない安定感を誇る。
直近の登板は5月13日・ヤクルト戦。9回途中まで1点のリードを守り、8回まで1安打投球を続けるも、9回に四球で出した走者が味方の失策も絡んで三塁まで進み、坂口にタイムリーを浴びて1-1の同点にされた。
1安打完封を逃し、勝ち星を増やすことはできなかったものの、この試合も9回を投げて自責点は0。防御率だけでなく、完投(3)、完封(2)、奪三振(62)もリーグトップ。今やセ・リーグを代表する投手として君臨している。
快投を支える「四球の少なさ」
昨季までのプロ3年間も申し分ない成績を残してきた菅野であるが、今年はより高いレベルに到達した感がある。ただ、今季の菅野。そのヒミツを探ってみると、浮かび上がってくるひとつの数字がある。「与四球の少なさ」だ。
今シーズンの菅野は、66イニングを投げて与えた四球がわずかに3つだけ。規定投球回到達の投手では断トツに少ない。
投手のコントロールの良さを表わす指標として、「与四球率」というものがある。投手が1試合(9回)を完投したと仮定した時の平均の与四球数を表す数字で、「(与四球×9)÷投球回数」で求めることができる。投手のコントロールの良さに加え、いかに打者から逃げずに勝負しているかが分かる数字とも言えるだろう。
今シーズンの菅野の数字を見ると、与四球は0.41。つまり、3試合で1つ四球を与えるかどうかという数字である。規定投球回に到達している投手で菅野の次に良い数字を残している投手を探してみると、同僚の田口麗斗で1.38(52回/与四球8)。どれだけ菅野が飛び抜けているか、お分かりいただけるだろう。
ちなみに、1シーズンで記録された最も低い与四球率というのは、1950年に野口二郎(阪急)が記録した0.69。181回と2/3を投げ、与四球は14個だった。次いで東映の土橋正幸が1962年に0.79(272回/与四球24)という数字を残している。
現役最強どころか、歴代最高の記録も見えるような四球の少なさ。これが相手につけ入るスキを与えない、完全無欠の投球を可能にしているのだ。
防御率や勝数などのタイトルがかかる数字はもちろんのこと、歴代トップクラスの数字が出そうな菅野の「与四球率」にも注目して見ていきたい。