かみ合わない投打
シーズン開幕前、野球評論家の多くが西武を上位に予想していたが、現在は借金「7」のパ・リーグ5位と厳しい戦いが続いている。
しかし、自慢の強力打線は今年も健在だ。昨年シーズン最多安打(216安打)を記録した秋山翔吾、昨年本塁打と打点の二冠に輝いた中村剛也に加え、ここまで15本塁打、40打点とリーグ二冠をひた走るメヒア、打率リーグ2位のベテラン栗山巧など、打つべき選手が結果を残しており、チーム打率、安打数、本塁打数など、複数の打撃部門でリーグ屈指の数字を残している。しかし、好調な打者陣に対して投手陣の状態は思わしくない。そこに失策などが絡み、チーム防御率は4.03でリーグ4位。打線が挙げた得点を守り抜けていないことが、5位に留まっている原因の1つと言えるだろう。
欠けたピース
そして昨年自身初の二ケタ勝利を挙げ、岸と共にエース級の活躍が期待されていた十亀剣の絶不調も大きな誤算だった。開幕シリーズで2戦目(オリックス戦)の先発を任されたあとも、初回から3連打を含む5被安打1四死球で5失点を喫し、3回で降板。4月以降も先発した6試合で5回を投げきった試合がわずか2試合のみで、1勝2敗、防御率7.04と苦しい状況が続いている。
リリーフ陣はというと、左肘痛で4月22日に登録末梢された高橋朋己の離脱が大きい。今季は中継ぎに回っていたが、高橋朋は2年連続20セーブ以上、10ホールド以上を挙げている西武の貴重なリリーフ左腕だ。
そして高橋朋の離脱は、試合の終盤だけではなく、中盤の層の薄さにも影響を及ぼしている。昨年リーグトップの40ホールドを挙げた増田達至が、今季から抑えに回っているのだ。
昨年は増田に頼る部分が大きかった中継ぎ陣。今季のチームのホールド数は「16」で断トツの最下位。リーグトップのソフトバンクが「32」であることを考えると、その差は歴然だ。
しかし、投手陣には明るい光も差し込んでいる。
見えてきた光明の先に
抑えに回った増田は、シーズン途中からの転向にも関わらず、リーグで3番目に多い7セーブを挙げ、防御率も2.25。9年目の武隈祥太も19試合に登板し、防御率1.89と安定感を見せている。また、出遅れていたバスケスも一軍に合流。先のロッテ戦では安定した投球を披露し、勝ちパターンとして十分に計算できることを証明した。
そして牧田和久だ。誰が何を言おうと、彼の存在をなくして今の西武を語ることはできない。牧田は、試合終盤の大事な場面はもちろんのこと、開幕2戦目に3回で降板した十亀の後を受けて4回からロングリリーフ。オリックス打線を無得点に封じてチームに勝利をもたらすなど、獅子奮迅の活躍を見せている。
様々な役割を課されながら期待に応え、ここまでチーム最多の4勝をマーク。中継ぎとしてチームの勝利に貢献した証でもあるホールドは「6」を記録し、防御率は1.50と、素晴らしい活躍を見せている。
11カードぶりの勝ち越しを決めたQVCマリンでのロッテ戦では、締まった試合を披露し、復調の気配を感じさせた。まだまだ不安要素はあるものの、リーグ屈指の強力打線と、くすぶる投手陣が噛み合ったとき、パ・リーグを独走するソフトバンクにとって、西武の存在は脅威となるはずだ。