陰りが見える東京六大学の名門
華の東京六大学野球で、実に44度の優勝回数を誇る強豪・法政大学。
昨年、春夏連覇を果たした早稲田に最多優勝回数の座は明け渡してしまったものの、伝統ある同リーグの中で屈指の強さを誇るチームであることは間違いない。
しかし、近年活躍を見せている球界の大卒選手たちの中で法大出身の選手を探して見ると、意外と名前が出てこないというのが現状だ。
例えば新人王。ここ5年続けて大卒ルーキーが獲得しているセの新人王選手を振り返ってみても、2011年の沢村拓一(巨人/中央大)にはじまり、野村祐輔(広島/明治大)、小川泰弘(ヤクルト/創価大)、大瀬良大地(広島/九州共立大)、山崎康晃(DeNA/亜細亜大)と他大学の名前が並び、パ・リーグの方も昨年の日本ハム・有原航平は早稲田大の出身で、その前の大卒新人王になる楽天・則本昂大も三重中京大。これだけの大卒新人王が出ながら、法大出身者の名前はない。
侍ジャパンで見てもそう。今年3月に行われた台湾との強化試合のメンバーに選ばれた大卒選手は8名いたが、その中に法大出身者の名前はなし。いまや球界の中心に法大出身者はいなくなってしまった。
チームだけでなく大学にとっても希望の星!
そんな中、ここに来て頭角を現し始めた法大出身者がいる。DeNAの2年目左腕・石田健大だ。
3・4月は好投を見せながらもなかなか援護に恵まれず、1勝1敗という成績で終えたものの、5月に入ると3連勝。それも20イニング無失点という快投を披露し、一気に月間MVPの筆頭候補に名乗りを上げた。
大学4年間は19勝16敗、防御率は2.85という成績。ところが、最終学年の4年に入ると故障していた左肩の具合が思わしくなく、ドラフト直前の秋は1勝6敗、防御率4.12とキャリアワーストの成績に終わってしまう。
プロ入り後は、しばらくファームでリハビリ調整。そして1年目からデビューを果たし、2勝6敗と負け越しを4つ作ったが、防御率は2.89という好成績。2年目に向けて期待を抱かせる投球を見せてルーキーイヤーを終えた。
好調DeNA先発陣の中で存在感が光る左腕は、法大OBにとっても新たな希望。華の東京六大学の名門・法政のプライドにかけて、他大学のライバルたちに負けるわけにはいかない。石田健大の奮闘に熱い視線が注がれている。