注目集める4年目の「二刀流」
プロ4年目を迎えた大谷翔平の「二刀流」が、あらためてクローズアップされている。
プロ入り前、名だたる野球評論家たちは「二刀流? 無理に決まっているだろう」「投手と打者でともに成功した人などいない」「早く、どちらかに絞った方がいい」と否定的な意見を並べていた。
ところが、昨シーズンまでの3年間、投手としても打者としてもある程度の成績を残したことで、評論家たちの意見も変わってきた。
「二刀流もいいじゃないか。やれるところまで、やったらいい」。
迎えた2016年。大谷の投手としての成績は、9試合の登板で2勝4敗、防御率は3.02。自己最速の162キロを何度も連発するなど、球速の話題は報じられているが、肝心な勝ち星がなかなか伸びてこない。
その一方で、打撃の方は絶好調。ここまで打率.348、8本塁打で18打点という好成績を残し、5試合連続の本塁打も記録。これは球団では1981年のソレイタ以来で35年ぶり4人目の快挙であり、日本人では1973年の大杉勝男以来(※大杉は6戦連発)。もちろん、投手としては史上初のことだった。
打者としても欠かせない存在に...
もはや自ら投げて、自ら打ちたいくらいの爆発ぶり。今や「大谷の登板日にDHはいらないのでは?」という声が本気で挙がるほどだ。
大谷が最後にスタメンに名を連ねた5月19日の日本ハムのスタメンを見てみよう。
【5月19日・日本ハムのスタメン】
(中)陽 岱鋼 率.270 本3 点9
(二)田中賢介 率.288 本1 点23
(指)大谷翔平 率.348 本8 点18
(一)中田 翔 率.266 本5 点33
(右)近藤健介 率.270 本1 点14
(三)レア-ド 率.264 本12 点24
(左)西川遙輝 率.217 本3 点16
(捕)市川友也 率.204 本0 点3
(遊)中島卓也 率.298 本0 点10
※成績は19日終了時点のもの
こうしてみると、打線で打率3割を超えているのはなんと大谷のみ。本塁打もレア-ドの12本に次ぐ8本を放っている。また、出場が少ない中での打点18も立派。クリーンナップとしての役割を十分に果たしていると言えよう。
打撃の好調に投球の不調が重なり、今や「打者・大谷」を支持する声も増え始めた。昨シーズンのパ・リーグ投手三冠に輝いた男に対し、「野手賛成」の声が挙がることになろうとは一体誰が予想しただろうか。
もちろん、「投手・大谷」を支持する声もある。かつて背番号「11」を背負い、日本ハムのエースとして活躍したダルビッシュ有(レンジャーズ)は、投手・大谷の成績に関して「まだ6月にも入っていない。判断するには早すぎる」と後輩を擁護。海の向こうからエールを送った。
「投手」か「野手」か…。進む道を決めるのは大谷自身であり、周りがとやかく言うことではない。しかし、大谷翔平という“怪物”がプロ野球界に存在する、この時代を生きている我々だからこそ、「投手」なのか「野手」なのか好きな意見が言えるということもまた事実。
大谷には今後も投打両方で奮闘してもらい、プロ野球ファンを悩みに悩ませるくらいの活躍を期待したい。