投打に盤石の体制を整えるソフトバンク
交流戦を2年連続の最高勝率で締めくくったソフトバンク。2位のロッテとは7.5ゲームの差。投打に死角のないチームはこのままリーグ優勝、そして日本一へと突き進んでいくのであろうか。
チーム打率.2666は、西武とわずか4毛差のパ・リーグ2位。打率3割を越えているのは、リーグ4位の.311をマークする内川聖一のみであるが、長谷川勇也(.297)や柳田悠岐(.293)、中村晃(.274)といったところが2割後半を維持し、打線を支えている。
また、チーム本塁打数の「66」はリーグトップ。こちらはチームトップの松田宣浩(15本)を筆頭に、内川(12本)、柳田(10本)と3人が2ケタに到達。そんなところにこれまで“守備の人”と言われていた今宮健太や城所龍磨の打撃開眼が重なり、今では手がつけられない状態だ。
一方の投手陣も、チーム防御率3.02はリーグトップ。若きエース・武田翔太と帰ってきた和田毅がハーラートップタイの8勝を挙げており、2人が左右の両輪として活躍。さらに千賀滉大が6勝、東浜巨も5勝で互いに負けなし。離脱中のバンデンハーク6勝と他球団が羨む先発陣の豊富さを誇る。
リリーフ陣も盤石で、チームのホールド数(57)とセーブ数(27)もリーグトップ。昨年に引き続き活躍する森唯斗や、復活した森福允彦、そこに新助っ人のスアレスと岩崎翔が加わり、最後にはどっしりとサファテが構える。こちらも他球団が羨む陣容となっている。
投打に盤石な布陣を整えているソフトバンクであるが、その中で意外な“リーグワースト”の数字もある。それが「被本塁打」の多さだ。
被本塁打ワースト5位に4名がランクイン!?
防御率も良く、失点も少ないソフトバンク投手陣の中では意外な数字。被安打数514もリーグ最少の数字ながら、なぜか被本塁打だけは64本でリーグ最多になっているのだ。
以下はパ・リーグの個人の被本塁打ランキング。
【パ被本塁打ランキング】
1位 12本 和田 毅(ソフトバンク) ←
2位 11本 バンデンハーク(ソフトバンク) ←
3位 10本 武田翔太(ソフトバンク) ←
4位 9本 釜田佳直(楽天)
5位 8本 千賀滉大(ソフトバンク) ←
5位 8本 ディクソン(オリックス)
5位 8本 東明大貴(オリックス)
なんとも意外なことに、勝ち頭の和田や武田をはじめとするローテーション投手たちの名前がこれだけ入ってきているのだ。
ひとつは“ホームランテラス”の設置によって、本塁打の出やすくなったヤフオクドームを本拠地としていることも大きな要因として考えられるが、それ以上に投手たちの「腹のくくり方」にもヒミツがあるように思う。
「ソロならOK」が致命傷に...?
今年のソフトバンク投手陣から感じるのが、「ソロならOK」というものだ。
「一発の事故は仕方がない、1点なら打線が取り返してくれる…」。こうした強気な姿勢によって被本塁打は増えた一方、強気の投球によって勝ち星も増やしているということが考えられる。
事実、ソフトバンクがここまでに浴びた64本塁打のうち、43本がソロ本塁打。約7割をソロが占めている。失点の割合の多くを本塁打が占めているというだけで、失点自体は少ない。そのため防御率は良く、勝ち星も稼げているということなのだ。
しかし、これから勝負の夏場が近づくにあたり、「一発病」は心配のタネのひとつになり得るだろう。
疲れから投手の球威がなくなってくると、これまで以上に被弾の確率は上がる。また、毎日試合がある野手たちに襲いかかる疲労はもっと深刻で、これまでのような援護がなくなることも十分に考えられる。すると、これまで良しとしていた「一発」による失点が致命傷になりかねない。
ソフトバンクはこの問題といかにして向き合っていくのか。また他の5球団はこの不安要素をどのように突いていくか。この攻防がパ・リーグのペナントの行方を左右するカギとなるかもしれない。