37年ぶり最下位の危機...
まさか、あの西武が……。その“まさか”の時がやってくるかもしれない。
今年も苦しい戦いを強いられている西武。ここまで88試合を消化して35勝50敗2分のパ・リーグ5位。最下位のオリックスとは2.5ゲーム差しかなく、徐々に底が近づいてきている。
もしも最下位でシーズンを終えるようなことがあれば、1979年シーズン以来で実に37年ぶりという屈辱。「クラウンライター・ライオンズ」の時代が終わり、所沢に「西武ライオンズ」が誕生したのがその年である。
「西武」がはじまって以来の危機に瀕しているチームであるが、ファームには起爆剤となりそうな選手もいる。坂田遼と山川穂高という2人の“大砲候補”だ。
打率は4割5分超え!驚異の打棒を発揮する坂田
今年で大卒8年目、10月には30歳を迎えるという坂田。今シーズンはキャンプからオープン戦にかけての猛アピールが実り、開幕スタメンの座をゲット。ついに開花か、という声も挙がったが、今年もチャンスを活かすことはできなかった。
一時は3割に乗った打率も、5月に入ると2割台前半まで低迷。5月7日に登録を抹消されると、6月の半ばには再昇格を果たすも、今度もおよそ1週間という短期間の一軍滞在で再び降格となった。
一軍と二軍を行ったり来たりという中、ファームでは素晴らしい成績をマーク。規定打席には到達していないものの、116打席に立って打率.452という驚異的な数字を残している。
また、8本塁打で31打点を叩き出しており、出塁率.491に長打率は.808。ふたつを合わせたOPSは1.299と、ファームでは圧倒的な成績が残る。
今度こそ一軍の舞台で輝きを...。何度も一軍の壁に跳ね返されてきた男であるが、この成績を見ると期待しないではいられない。
三冠王も見えてきた山川
もう一人の注目は山川。大卒3年目の右の大砲候補である。
2014年のフレッシュオールスターゲームで優秀選手賞を獲得するなど、この人もファームでは輝きを放ちながら、一軍ではなかなか結果を残せずに苦しんでいるという選手。今年も一軍では12試合の出場で打率.154と結果を残すことができていない。
それでも、ファームでは58試合の出場でリーグトップの打率.323を記録。本塁打19も断トツの数字となっており、打率と本塁打の二冠を走っている。
さらに打点でもトップの岡本和真(巨人)に3差の2位につけており、ここに来て三冠王も視界に入ってきた。
ただし、いくら三冠王と言っても一軍で活躍できなければ意味が無い。もちろん悪いことではないのだが、大卒3年目の“ファーム三冠王”はあまり素直に喜べるものではないだろう。
この山川も一軍の壁をぶち破って欲しい選手の一人である。
これだけ打っても上がれない理由
このように起爆剤となりそうな選手はいるものの、なかなか一軍でのチャンスが巡ってこない。
これだけの成績を残していても、一軍に上がることができない理由...。ネックとなっているのは「ポジションがない」ということだ。
坂田であればライトか指名打者、山川なら一塁か三塁、指名打者での起用となるのだが、そこには中村剛也にメヒア、森友哉とすでに一軍での実績が豊富な強打者たちがひしめいている。いくら坂田や山川が結果を残していても、ここに割って入っていくのは至難の業だろう。
加えて両者とも守備に課題を残しているだけに、1試合・4打席立たせてもらうというチャンスはなかなか巡ってこない。そんな中で無理やり昇格させても、代打や途中出場などの限られたチャンスで結果を残せずに即降格、ではこれまでの繰り返しになってしまう。ファームで好調な2人にとって、あまりにも過酷な状況となっているのだ。
コンディションが万全でない中村の強行出場や、丸1年以上もマスクを被っていなかった森の捕手起用など、選手起用の部分でなにかと物議をかもしているチームであるが、ここからどこに活路を見出し、巻き返しを図っていくのか...。
危機的状況を迎える西武のこれからに注目だ。