ニュース 2016.07.25. 07:30

メジャー最高左腕カーショーと広島の二人のエースとの絆

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黒田博樹(右)とカーショー(左)
 多くの日本人がメジャーリーグの舞台で活躍し、今やメジャーリーグは日本でも気軽にテレビ中継を見ることができるようになった。イチローや田中将大、ダルビッシュの出場する試合を観戦しているうちに、本場アメリカの「ベースボール」自体に魅了される野球ファンも多い。そんなメジャーリーグファンの間ではよく知られたメジャー屈指、いやNo.1と言い切っても良いであろう1人の左腕がいる。ロサンゼルスドジャースのクレイトン・カーショーだ。

 カーショーは、1988年生まれの28歳。2008年にメジャーデビューして以来、昨シーズンまで通算8年で114勝(56敗)を挙げている。

 驚くべきは、そのサイ・ヤング賞の獲得ペースである。8年間で3度の受賞を果たしているが、カーショーは、現在28歳と若く、これから投手として最も「脂」ののる時期に突入する。

 これまで歴代最多7回のサイ・ヤング賞を受賞しているロジャー・クレメンスの記録を塗り替えることが大いに期待できる。今年も11勝2敗、防御率リーグトップの1.79という成績を残し、4度目のサイ・ヤング賞受賞に期待が掛かっていたが、7月1日に椎間板ヘルニアにより、故障者リスト入りし、戦列を離れた。

 そんなメジャー最強左腕と、現在は古巣広島に「男気復帰」し、マウンドに立つ黒田博樹との間には深い絆があることは有名な話である。

 二人の出会いは2008年。広島からドジャースに移籍した黒田と、開幕直後にマイナーから昇格してきたカーショーは、ともにメジャーでは“ルーキー”で、キャッチボールのパートナーになった。

 当時、20歳のカーショーは日本で豊富なキャリアを持つ黒田を尊敬し、黒田も才能に溢れた若き左腕に一目を置いていた。そして、野球という垣根を越えた、互いの「人間性」にも惚れ込みあった。カーショーは4年目の11年、自身初となるサイ・ヤング賞を受賞したが、その年のオフに黒田はヤンキースへの移籍を決断した。カーショーは誰よりも、黒田と同じユニフォームを着続けることを臨み、それを伝えられた黒田はロッカールームで涙を流したという。

 黒田がドジャースを退団してから5年。

 ドジャースには、黒田によく似た経歴をもつ、日本を代表する右腕がドジャース入りを果たした。前田健太である。開幕から共に先発ローテーションを守る前田についてカーショーは「前田と一緒にいると黒田を思い出す」とコメントしている。

 デビューから8年、3度のサイ・ヤング賞を始め、数々のタイトルとキャリアを積み上げ続け、メジャー最高の投手となったカーショー。前田も日本球界で、日本のサイ・ヤング賞にあたる「沢村賞」を2度獲得しているが、メジャーでのキャリアは、始まったばかりだ。

 奇しくも2人は同じ88年生まれ。(※学年はカーショーが1学年上)

 カーショーが8年前に見た、ドジャース背番号「18」の黒田の背中。前田は、黒田との絆が詰まったドジャース不動の「22」の背中を見て、世界を目指す。

 二人の新たな絆に今後も注目していきたい。

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