いよいよ開幕、夏の甲子園!
日本の夏の風物詩「全国高校野球選手権大会」が、8月7日(日)に開幕する。
4日には組み合わせ抽選会も行われ、各校の初戦の対戦が決定。いよいよ大会が近づいてきた中、これまでの夏の主役たちを振り返っていくのがこの企画。
今回は、史上6校目となる春夏連覇を成し遂げ、沖縄に初めて真紅の優勝旗を持ち帰る原動力となった、あの左腕を振り返る。
旋風を巻き起こした“琉球トルネード”
日本で一番早く甲子園出場が決まる地区といえば、沖縄県である。
過去97回もの歴史を誇る夏の甲子園の中で、沖縄県の代表が全国制覇を成し遂げたのはたった一度だけ。それが2010年、92回大会の興南高だ。
決勝戦で神奈川の強豪・東海大相模を13-1の大差で下し、沖縄県勢として初の夏の甲子園制覇。それも史上6校目となる春夏連覇というオマケ付きだった。
チームを偉業に導いた立役者は、エース左腕の島袋洋奨。“琉球トルネード”の異名をとったトルネード投法が話題を集め、一躍夏の主役へと躍り出る。
甲子園での通算成績は、計13試合の登板で11勝2敗。防御率は1.63という圧巻の成績。通算勝利数「11」は、あの“平成の怪物”・松坂大輔(現ソフトバンク)に並ぶ記録である。
甲子園での活躍が評価され、大会後には高校日本代表にも選出。秋のドラフトでは目玉候補となるはずであったが、男はより自信をつけてからプロの世界へと挑むべく進学を選択する。ここからが苦悩の始まりであった。
あの輝きをもう一度...
中央大学に入学すると、1年から春のリーグ戦で開幕投手を任されるなど、すぐに期待に違わぬ活躍を披露。ところが、2年時に左肘を故障して以降、自他共に理解し難い不調に襲われる。
大学生活の後半も制球難に苦しみ、大学での通算成績は12勝20敗。甲子園を席巻したトルネード投法の改良も強いられるなど、プロへ向けたステップのはずだった大学で最大のスランプに陥ってしまったのだ。
最終的にはプロ入りも危ぶまれる声まで挙がったが、ドラフトではソフトバンクが獲得に名乗りを挙げた。その順位は5位。実際どうだったかは分からないが、もし島袋が高卒でのプロ入りを志望していたら...この順位まで残っていることはなかっただろう。
プロでは1年目は一軍登板を果たすも、今シーズンはファームで19試合に登板し、2勝4敗。防御率は5.25と、巨大戦力の中でこの成績では、なかなかチャンスは巡ってこない。
それでも、今はただひたむきに投げ続ける。いつ来るか分からないチャンスを逃さないためにも、準備を怠るわけにはいかないのだ。
栄光も地獄も知る男は、そんなにヤワじゃない。もう一度輝きを取り戻すため、男は戦いを続ける。