あらゆる部門でリーグトップの成績も…
今季の菅野智之(巨人)は、8月4日現在の投手成績を見ると、防御率、奪三振、完投数など多くの部門でリーグトップの数字が並ぶ。
防御率 1.69(1位)
投球回数 133回1/3(2位)
奪三振 132(1位)
与四球 18(1位)※規定投球回数到達投手の中での最少
この数字をまとめると、菅野はセ・リーグで最も安定した投手といえる。
しかし、勝利数は「6」でリーグ10位タイ。ハーラーダービートップの12勝を挙げる野村祐輔(広島)には、あらゆる投手部門で成績が上にも関わらず、勝利数で「倍」の差をつけられている。
抜群の安定感を誇るエース
菅野は、今季18試合に先発しているが、5回を持たずにマウンドを降りたのが、交流戦明け初戦の6月24日、横浜スタジアムで行われたDeNA戦の1試合のみ。この日は2回1/3を投げ、9失点と“らしくない”内容でKOされたが、他の17試合は、6回までが2試合、7回までが6試合、8回までが4試合、9回までが5試合と、概ね7回以上は投げている。
そして失点は前述のDeNA戦の9失点の他は、3失点を喫した3月31日のDeNA戦の2試合以外、全て2失点以内で試合を作っている。本来であれば、最多勝争いを独走していても不思議ではない内容である。
“好投していても援護がない”野球界では“ムエンゴ病”などと言われることもあるが、菅野の投球内容に対する成績は、まさに“ムエンゴ病”では片付けることのできないほど、どの角度からみても称賛されるべきものである。
疲労によるコンディション調整で、登板間隔が見直されることも示唆されているが、勝負の8月を迎えている。一時は10ゲーム以上離されていた首位・広島とのゲーム差は6.5まで縮めてきた。一気に差を詰めるためには、ここまで忍耐を重ねた菅野を打線が、援護することを求められる。
7月まで調子が上がらなかった打線だが、後半戦に入り打撃好調が続く。3番の坂本勇人がリーグトップの打率.336をマークし、4番の阿部慎之助が18試合連続安打中、5番の村田修一も打率が3割を超えるなど主力選手たちの状態が良い。打線と菅野のこれまでの投球内容がうまく絡めば、怖いものはない。