10年前の再現を...
“リメークドラマ”――。1996年の再現へ、巨人が静かに燃えている。
最大で11.5ゲーム差あった広島との差をひっくり返し、大逆転でリーグ優勝を果たしたのが1996年のこと。あれから10年、巨人は再び広島の背中を追いかけている。
7月30日終了時点で両者のゲーム差は「8」。直接対決はまだ9試合残っているだけに、最後までどうなるかはわからない。8月、9月の戦いが非常に重要となる。
カギを握る“男・村田”
奇跡の逆転優勝へ、カギを握るのが村田修一だ。
かつては本塁打王に2度輝き、日本代表の4番も務めたスラッガーであるが、昨年は打率.236で12本塁打と低迷。“限界説”まで囁かれ、今季は若き大砲候補・岡本和真とのポジション争いを強いられた。
迎えたオープン戦。村田は19試合で打率.195に終わったものの、ライバルの岡本も.164とアピールできず。村田が開幕スタメンを勝ち取った。
内容はどうあれ、結果的にポジションを守った形になった村田。それでも、シーズンが開幕すると見事な復活を遂げる。
ここまで94試合に出場して打率.305、12本塁打、33打点の成績。昨年は規定到達での打率3割超え選手が一人もいなかったという巨人の中で存在感を発揮している。
中でも上位の広島、2位を争うDeNAに対して高い数字を残しているのが特徴的。村田の対広島、対DeNAの成績は以下の通りだ。
【vs.広島】
打率.339(56-19) 本塁打3 打点7
【vs.DeNA】
打率.359(64-23) 本塁打6 打点12
これからの終盤戦、上位チームとの対戦が大きな意味を持つ中で、この2チームと相性が良い村田の存在は非常に心強い。
ファームを見ると、春先にポジションを争った岡本が好調を維持。しかし、そうやすやすとポジションが与えられるほど甘い世界ではない。
「俺を超えていけ」――。競争を経て蘇った“男・村田”が、巨人を高みへと導く。