山田哲人が今年もスゴイ!
打率.329(2位)、本塁打38(1位)、打点100(2位)――。
昨シーズンのMVP・山田哲人が記録した数字である。
首位打者は川端慎吾に、打点王は畠山和洋に、それぞれヤクルトのチームメイトに譲る形にはなったものの、この他にも盗塁王(34個)、最高出塁率(.416)も獲得。プロ野球13年ぶりとなるトリプルスリーを達成し、打撃タイトル六冠総獲りも...!?という凄まじい勢いでシーズンを駆け抜けた。
そんな山田、今シーズンは体調不良での欠場があったほか、8月には死球による背中の故障で戦線離脱。厳しいマークに苦しめられながらも、今年もトリプルスリーをほぼ確実なものとしている。
2年連続のトリプルスリーとなればプロ野球史上初。ちなみに、一人で複数回の達成というのも初の快挙だ。
順調に打撃成績の各数字も上げてきており、今年の山田は一体“何冠”に輝くのか...これが残り僅かとなったシーズンのたのしみとなっている。
昨季を超える“四冠”は射程圏も...
ヤクルトはリーグで最も試合消化が早く、残りは10試合。山田のここまでの各部門の数字は以下の通りである。
【山田哲人・今季成績】※()はリーグ内の順位
123試合 打率.324(4位) 本塁打38(2位) 打点96(2位)
出塁率.444(1位) 安打143(9位T) 盗塁30(1位)
このように、ここまでは出塁率と盗塁がリーグトップ。ともに昨年タイトルを獲得したものだ。
その他では、本塁打がDeNAの筒香嘉智に1本差と迫る2位、打点は広島・新井貴浩を2差で追う2位と射程圏には捉えている。残り10試合もあれば、逆転可能な数字であろう。
しかし、ここからの10試合は山田にとってかなり険しい道のりとなることが予想される。
山田に待つ“茨の道”
この後の10試合は広島が2試合、巨人が2試合、阪神と中日が1試合ずつに、DeNAが4試合という内訳。CS出場のイスを争うDeNAとの試合が最も多く残っているのだ。
山田は対DeNAとなると打率が.269と落ちる。これはセ・リーグ5球団ではワーストの数字である。
加えてDeNAには、山田と本塁打のタイトルを争う筒香がいる。自軍の選手にタイトルを...という考えは生じて当然。こうなると、山田が全ての打席で真っ向勝負をしてもらえるとは考え難い。
これは広島戦も同様だ。もしくは、タイトルへの想いはDeNAのそれを上回っているかもしれない。
一度は広島を離れ、鯉党からきついブーイングまで浴びた男が、ボロボロになって帰ってきた古巣で復活。2年目にはチームをリーグ制覇へと導く恩返しをしてみせ、5年ぶりの個人タイトル獲得も近づいてきている。
こうなれば球団もどうにか新井にタイトルを...という想いを抱くのは当たり前のこと。得点圏に走者がいる時に、わざわざライバルの山田と勝負するようなことはあるのだろうか。
しかも、厳しいマークの先には、11日に食らったような死球もつきもの。かねてから不安を抱える腰や、シーズン中に痛めた背中など、満身創痍の男にとって、これ以上厳しい攻めは「カンベンして...」というのが本音だろう。
まともに勝負してもらえるのか分からない。それでいてより一層マークは厳しくなる...。高まるファンの期待とは裏腹に、待っているのは茨の道だ。
山田哲人は自らの腕でそれをはね退け、また新たな栄冠を掴み取ることができるだろうか。