元気がない巨人
広島の圧勝で9月前半にペナントの行方が決まったセ・リーグ。優勝を決めた後もその強さには陰りが見られず、2位との差は「16.5」まで広がっている。
9月15日、優勝決定後はじめて地元・マツダスタジアムで行われた試合も、2位の巨人を投打で圧倒。5-0でライバルを退け、シーズン85勝目を挙げた。ここまで85勝48敗2分の勝率.639。残り8試合ではあるが、シーズン90勝すら視界に捉えるほどの快進撃である。
一方、巨人はこの敗戦により66勝62敗3分の貯金4。14日からスタートした勝負の11連戦は連敗スタートとなり、今や「2位死守」が最大の目標となってしまっている。
クライマックスシリーズから、大逆転での日本シリーズ出場、そして日本一奪回へ...。今のチームにはその勢いが感じられない。
巨人の“穴”
とはいえ、新監督1年目でリーグ2位。文句を言われながらも最低限結果を残すあたりは流石と言ったところ。
では、このチームにおける巻き返しのカギとなるポイントはどこか...。今シーズン顕著に出た“穴”というと、「二塁手」ではないだろうか。
仁志敏久が去って以降、二塁手の人選は毎年のように挙がっていた課題。助っ人の補強やFAで選手を獲得してきても、その弱点はなかなか埋まらなかった。ここで、今シーズン巨人の二塁を守った選手たちの成績を見てみよう。
【巨人の二塁手】
63試合 クルーズ 率.252 本11 点36 盗0 失策5
29試合 寺内崇幸 率.136 本0 点1 盗0 失策0
25試合 片岡治大 率.222 本2 点4 盗4 失策0
22試合 山本泰寛 率.256 本0 点2 盗0 失策2
17試合 脇谷亮太 率.157 本1 点7 盗0 失策1
9試合 吉川大幾 率.167 本0 点1 盗1 失策2
9試合 中井大介 率.170 本0 点4 盗0 失策2
5試合 辻 東倫 率.200 本0 点0 盗0 失策2
1試合 藤村大介 率.000 本0 点0 盗0 失策0
今シーズンはロッテで活躍したゴールドグラバーのルイス・クルーズを獲得。攻守における救世主として期待をかけたが、度重なる故障により打撃にも波が見られた。
加えて、FA加入3年目の片岡治大も故障に苦しみ、ここまで一軍出場は32試合のみ。それも9月10日、目の前で優勝を決められた広島戦でファウルを打った際に手を骨折し、一足早くシーズンに幕を下ろしている。
ルーキーの山本を起用してみたり、若手のホープ・辻を起用してみたりと将来を見据えた起用も目につくようになってきたが、今後のスタンスをどうするのかが気になるところ。若き自前の戦力を我慢して育て上げるのか、はたまた当たりを引くまで補強を続けるのか...。どっちつかずで宙ぶらりんのままでは、ここ数年と同じことを繰り返すだけである。
救世主は現れるか...
リードを守れず、延長戦で敗れた最悪のスタートから2連敗...。11連戦は早くも“デスロード”の様相を呈している。
広島から東京、東京から西宮、そして東京と行ったり来たりの苦しい日程は、今シーズン最後にして最大の試練と言えるだろう。逆にここで救世主となる存在が出てくれば、CSへ向けた良い助走期間となることは間違いなく、大逆転劇への機運は高まる。
果たして、苦しい巨人を救う選手は出てくるのか。残る12試合から目が離せない。