今季限りで引退する“ビッグ・パピ”
9月も終盤に入り、シーズンも佳境。この頃になると、寂しい話題も耳に入ってくるようになる。
先日はロッテのサブローが引退を表明し、21日には“ハマの番長”こと三浦大輔が引退会見を行った。さらに同日、広島の倉義和、広瀬純も現役引退を表明と、ここに来て進退表明が相次いでいる。
海の向こうアメリカでも、それは同様。特に注目を集めているのは、シーズン前に今季限りでユニフォームを脱ぐことを宣言したレッドソックスのデービッド・オルティスだ。
40歳にしてメジャー最強クラスの打棒を発揮
多くの選手は年齢を重ねるごとに成績を落とし、自らの限界を感じて決断を下す。DeNAの三浦も引退会見で「先発で勝てなくなったらやめると決めていた」と潔く語っている。
ところが、オルティスに関しては別。限界を見せるどころか、11月で41歳となるシーズンにして全盛期をほうふつとさせるような打棒を見せつけ、チームを牽引している。
今シーズンの成績はここまで140試合の出場で打率.318、36本塁打、121打点。OPSはメジャーで唯一の「1超え」となる1.037という驚異的な数字を叩き出しており、いわば今年のメジャーリーグで最も危険な打者であると言っても過言ではない。
【ここ5シーズンの成績】
12年: 90試 率.318 本23 点60 OPS1.026
13年:137試 率.309 本30 点103 OPS.959
14年:142試 率.263 本35 点104 OPS.873
15年:146試 率.273 本37 点108 OPS.913
16年:140試 率.318 本36 点121 OPS1.037
(※現地9月20日時点の成績)
直近5年間の成績を見ても、ここ2年続けて3割を割った打率も回復し、本塁打も昨年に1差と迫る36本をマーク。打点に関してはここ10年で見ても最も多い。
自ら“花道”を作り出す
シーズン終盤を迎えても疲れ知らずに打ちまくっている“ビッグ・パピ”。
現地19日のオリオールズ戦ではライトスタンドを超える場外弾を放ち、1本塁打、2打点の活躍を見せれば、20日の試合でも本塁打を含む2安打3打点の大暴れ。熾烈な優勝争いを繰り広げるチームを引っ張っている。後輩たちに花道を飾らせてもらうのではなく、自ら花道を作り出そうとしているのだ。
ちなみに、引退するシーズンにオルティスのような活躍を見せた選手はというと、メジャー通算最多の756本塁打を記録したバリー・ボンズが現役最終年に28本のアーチを描いた。
日本でも、世界の本塁打王こと王貞治は1980年に30本塁打を記録しながら引退している。オルティスはそんな偉大な先人たちをも上回るような成績を残し、ラストイヤーを突っ走ってきた。
自身のキャリアの最後に華を添えることができるか。オルティスのラストスパートから目が離せない。