「34歳」での決断
気がつけば9月も終盤...。プロ野球も開幕から半年が経とうとしている。シーズンも佳境を迎え、いよいよ“寂しい話題”も目や耳に入り始める時期がやってきた。
中でも目に留まったのが、オリックス・小松聖の引退。プロ10年目、他の選手達よりも早い34歳での決断に驚いたファンも少なくなかったことだろう。
順風満帆だったスタート
社会人・JR九州で名を上げた男は、2007年のドラフト希望枠でオリックスへと入団。1年目は一軍で8試合に登板してプロ初勝利をマークすると、2年目に大きな飛躍を果たす。
4月にプロ初先発を任されると、初めての先発勝利を記録。一時は中継ぎに回るも、7月終わりの西武戦から怒涛の9連勝を挙げるなど、快進撃を見せ、最終的には15勝3敗、防御率2.51の成績で新人王を獲得した。
ちなみに、この年の新人王投票は投票数171に対して小松の得票数が170。1票は「該当者なし」とまさに小松の独壇場であった。
オリックスのエースとなったはずが...
翌春には、WBC日本代表メンバーにも選出。韓国と対戦した第2ラウンドの1位決定戦では2番手として登板し、2回1/3を無失点に封じる快投。日の丸を背負っても安定した投球を披露し、世界一メンバーの一人となった。
順風満帆なステップで、その年の開幕投手の座もゲット。ここからオリックスのエースとして再び快進撃がはじまるものだと、この時は誰もが思っていた...。
ところがその開幕ゲームで5回を7失点と乱調。次戦でも5回途中を6失点と苦しい投球を見せると、すぐに二軍落ち。前年から働き詰めの状況を見て、一度リフレッシュ期間を設けたが、その後も調子は戻らず。結局17試合の登板でまさかの1勝。9敗を喫し、防御率7.09と信じられない数字を並べた。
「長いようで短かった」10年間
2010年にはリリーフに転向。ストッパー候補としても期待を受けたが、セットアッパーとしての役割が主となる。先発も登板したが、かつての輝きを取り戻すことができず。夏場の8月には骨折もあってシーズンに幕を下ろした。
故障にも悩まされ、2011年は1試合、2014年は4試合と一軍登板が1ケタ台に終わるシーズンも。そして今シーズンも3試合の登板に留まり、0勝1敗で防御率は8.10。そして9月、ついにプロ10年目のこのシーズンを持ってユニフォームを脱ぐことを決めた。
引退会見にて、プロ野球人生は「長いようで短かった」と小松。「子どもたちにはカッコイイお父さんをなかなか見せられなかったんですが、これからはプレーヤーとしてではなくひとりの父親として子どもたちの道筋を一緒に決めていってあげたいなと思います」とこれからの意気込みも語った。
家族やチームメイト、そしてファン...。関わった全ての人々への感謝で溢れた会見だった。
なお、引退セレモニーは本拠地最終戦が開催される29日(木)を予定。激動の10年を駆け抜けた背番号「28」の最後の勇姿を見逃すな。
▼ 小松聖
生年月日:1981年10月29日(34歳)
身長/体重:180センチ/80キロ
投打:右投右打
経歴:勿来工-国士舘大-JR九州-オリックス(06年・希)
[今季成績] 3試 0勝1敗 防御率8.10
[通算成績] 158試 25勝26敗1セーブ 防御率4.36
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※初出し時に引退セレモニーの日付を「28日(木)」としましたが、正しくは「29日(木)」です。大変失礼いたしました。