オリックス・バファローズは今年、阪急時代から数えて80周年を迎えた。そしてこの9月には、オリックス・ブレーブスの復刻特別イベント「THE ORIGIN of Bs~蒼き勇者の閃光~」が開催される。
今回のイベントでは、OBゲストによる「トークショー」や、オリックス・ブレーブス復刻ユニフォーム(1989年~1990年着用ホームユニフォーム)の着用のほか、阪急時代の復刻ユニフォームといった「80周年記念グッズ」も販売される。
そこで、「野球知識検定」で100点満点をとるなど深い見識を持ち、ヤクルトや楽天をはじめとする数々の球団で斬新なユニフォームデザインを手掛けて多くの野球ファンから支持を集める“グラフィックデザイナー”の大岩 Larry 正志さんに、過去のユニフォームを振り返ってもらった。
これが初代阪急軍のユニフォーム。シンプルなデザインの中にも赤い縁どりが良いアクセントになっている。80年前のものながら、大岩氏も「シンプルでお洒落」と評価するデザインだ。
「昔のものは本当にシンプル。素材がなくて派手なことができないという側面もあるんですけどね。」
「そして、ドイツ文字、ブラックレターのような書体が良い。今でもデトロイト・タイガースとかが使っていますし、今のオリックスのロゴも似たような系統ですけど、単純にお洒落。一文字だけというのが、またいいですよね。逆にない。当時としては、とても洒落てたんじゃないですかね」
「このころは赤と濃紺だった。この時代に他に色見を使っているのはあまりないんじゃないですかね。基本的には、白に紺か黒が多い時代だった」
そして阪急軍誕生の11年後、各球団はニックネームをつけるようになり、阪急ブレーブスが誕生。その初代ブレーブスユニフォームが上の写真になる。白い縁どりにえび茶で「Braves」と書かれている。
「1947年、このとき、阪急は最初に“ベアーズ”というニックネームをつけるんですよ。だけど、オープン戦で負けが続いたことなどもあって、開幕からブレーブスになったようですね。」
「これはメジャーで当時はボストン・ブレーブスかな。今のアトランタ・ブレーブスですね。メジャーにあった名前なので、その影響を受けたものかと。ロゴも当時の(ボストン・)ブレーブスにインスパイアされたような形なので。Bのあとの“r”がだいぶ上からはじまっているのが特徴的ですね」
ここにきて袖に“勇者マーク”が登場!赤い縁どりもお洒落。
「この辺りからエンブレムというものが、色々なところや球団にも出てきますね。こういうのがあるのとないのではユニフォームの収まりがだいぶ変わってくる。だから僕は好きなんですよ袖に何かつけるのが。」
――がんばろう神戸的な?
「例えばそうですけど、あれは広告的な感じなのでちょっと違って、ロゴやこの勇者のようなイラストとかの。袖に付くには円形が収まりいいんです。もしくは細い横長のもの。縦長のものは 合わなくて、横長の紋章とか、円形が合うんです。この勇者マークみたいのはバランスがいい」
――ロゴの書体も変わりました
「この“Braves”のロゴは、ミルウォーキー・ブレーブスのままなんです。「E」が小文字じゃなくて大文字っぽいのが特徴的。(赤い)ラインの入れ方もそうですね。ミルウォーキーはロゴの下に斧が入っていますけど。」
「変な話ですけど、書体とかをちゃんと模倣できている。なんでもそうですが、クオリティが低い模倣が一番ダサいと僕は思っているんです。だけど、これはちゃんとできている(笑)」
1962年からユニフォームがストライプとなり、写真は64年から6シーズン着用したモデル。今回のOBトークショーにも登場する山田久志氏が最初に袖を通したのも、このモデルになる。
「ブレーブスは何度か縦じまをやっているんですけど、今のバファローズやブレーブス、ブルーウェブに縦じまのイメージはないですね。でも詳しい人は「おっ!」と思うかもしれない。それくらい印象的ではありますね」
この前モデルから前ボタンではなく、プルオーバーに。10年ほど続いたストライプから白をベースの赤文字という、アラフォー世代の記憶に新しい「阪急ブレーブス」へ。
「日本のプロ野球でもボタンだったところが70年代に入ってプルオーバータイプが流行るんです。ほかにも、阪神や南海、大洋などはずっとプルオーバーでしたね。これもメジャーの流れ。ベルトレスだったり。ベルトレスだと(ベルトの部分を)カラフルでポップにできてアレンジもききます。」
前ボタンの復活と共に、これが「ブレーブス」最後の前ボタンモデルに。また、この頃からアンダーシャツが黒から赤に変わりました。
再びプルオーバー。書体は筆記体から小文字に。襟は丸首からVネックへ。袖にはプロ野球史上初の球団マスコット“ブレービー”が登場。
「赤と黒がうまく使われて、この辺の時代ではけっこうレベルが高いユニフォームだと思います。ただ、アンダーシャツは黒のままの方が強そうには見えるかなと思いますけどね」
そして、今回の「阪急~ORIX Buffaloes 80周年企画」で着用するのが、この「オリックス・ブレーブス」モデル。
これまでの“赤”のイメージから、ゴールデン・イエローとオリックス・ブルーと名付けられた“黄”と“紺”を用いられています。
「色に加え、文字のバランスなどもちょっと変えていますけど、同じような感じで(阪急からオリックスに)引き継がれていますね」
今回の「THE ORIGIN of Bs~蒼き勇者の閃光~」イベントは、9月3日(土)と4日(日)、11日(日)の3日間にわたって行われ、監督や選手たちは「オリックス・ブレーブス」モデルのユニフォームを着用する。
また当日は、OBによる始球式や当時の球場演出に復刻飲食メニュー、山田久志氏、福本豊氏、中沢伸二氏、山沖之彦氏といった、OBによるトークショーが行われる予定だ。
<イベント開催日>
オリックスvs日本ハム(ほっともっとフィールド神戸)
・9月3日(土)18:00試合開始
└OBゲスト:中沢伸二氏・山田久志氏
・9月4日(日)13:00試合開始
└OBゲスト:山田久志氏・福本豊氏
オリックスvsロッテ(京セラドーム大阪)
・9月11日(日)14:00試合開始
└OBゲスト:山田久志氏・山沖之彦氏
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大岩 Larry 正志
グラフィックデザイナー/ボイスアクター ONE MAN SHOW 代表。
2008年の西武ライオンズ交流戦用、 2009年の福岡ソフトバンクホークス「鷹の祭典」用、2010年にリニューアルされた名球会のユニフォームやグラフィック、2012年からは楽天イーグルスの「TOHOKU GREEN」などの夏季限定ユニフォーム やチャンピオンロゴデザインなどをデザイン。
2015年からは、初めてのセ・リーグチームとなる東京ヤクルトスワローズのCREW ユニフォーム、燕プロユニフォームのデザインも担当。今年のホーム・ビジターユニフォームのリニューアルも手掛けた。
また、アニメ「The World of GOLDEN EGGS」では、ボイスアクターとしての一面も。
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今回のイベントでは、OBゲストによる「トークショー」や、オリックス・ブレーブス復刻ユニフォーム(1989年~1990年着用ホームユニフォーム)の着用のほか、阪急時代の復刻ユニフォームといった「80周年記念グッズ」も販売される。
そこで、「野球知識検定」で100点満点をとるなど深い見識を持ち、ヤクルトや楽天をはじめとする数々の球団で斬新なユニフォームデザインを手掛けて多くの野球ファンから支持を集める“グラフィックデザイナー”の大岩 Larry 正志さんに、過去のユニフォームを振り返ってもらった。
1936年~<初代阪急>
「昔のものは本当にシンプル。素材がなくて派手なことができないという側面もあるんですけどね。」
「そして、ドイツ文字、ブラックレターのような書体が良い。今でもデトロイト・タイガースとかが使っていますし、今のオリックスのロゴも似たような系統ですけど、単純にお洒落。一文字だけというのが、またいいですよね。逆にない。当時としては、とても洒落てたんじゃないですかね」
「このころは赤と濃紺だった。この時代に他に色見を使っているのはあまりないんじゃないですかね。基本的には、白に紺か黒が多い時代だった」
1947年~<初代ブレーブス>
そして阪急軍誕生の11年後、各球団はニックネームをつけるようになり、阪急ブレーブスが誕生。その初代ブレーブスユニフォームが上の写真になる。白い縁どりにえび茶で「Braves」と書かれている。
「1947年、このとき、阪急は最初に“ベアーズ”というニックネームをつけるんですよ。だけど、オープン戦で負けが続いたことなどもあって、開幕からブレーブスになったようですね。」
「これはメジャーで当時はボストン・ブレーブスかな。今のアトランタ・ブレーブスですね。メジャーにあった名前なので、その影響を受けたものかと。ロゴも当時の(ボストン・)ブレーブスにインスパイアされたような形なので。Bのあとの“r”がだいぶ上からはじまっているのが特徴的ですね」
1960年~<初代勇者マーク>
ここにきて袖に“勇者マーク”が登場!赤い縁どりもお洒落。
「この辺りからエンブレムというものが、色々なところや球団にも出てきますね。こういうのがあるのとないのではユニフォームの収まりがだいぶ変わってくる。だから僕は好きなんですよ袖に何かつけるのが。」
――がんばろう神戸的な?
「例えばそうですけど、あれは広告的な感じなのでちょっと違って、ロゴやこの勇者のようなイラストとかの。袖に付くには円形が収まりいいんです。もしくは細い横長のもの。縦長のものは 合わなくて、横長の紋章とか、円形が合うんです。この勇者マークみたいのはバランスがいい」
――ロゴの書体も変わりました
「この“Braves”のロゴは、ミルウォーキー・ブレーブスのままなんです。「E」が小文字じゃなくて大文字っぽいのが特徴的。(赤い)ラインの入れ方もそうですね。ミルウォーキーはロゴの下に斧が入っていますけど。」
「変な話ですけど、書体とかをちゃんと模倣できている。なんでもそうですが、クオリティが低い模倣が一番ダサいと僕は思っているんです。だけど、これはちゃんとできている(笑)」
1964年~<山田久志入団&67年リーグ優勝>
1962年からユニフォームがストライプとなり、写真は64年から6シーズン着用したモデル。今回のOBトークショーにも登場する山田久志氏が最初に袖を通したのも、このモデルになる。
「ブレーブスは何度か縦じまをやっているんですけど、今のバファローズやブレーブス、ブルーウェブに縦じまのイメージはないですね。でも詳しい人は「おっ!」と思うかもしれない。それくらい印象的ではありますね」
1975年~<初の日本一>
この前モデルから前ボタンではなく、プルオーバーに。10年ほど続いたストライプから白をベースの赤文字という、アラフォー世代の記憶に新しい「阪急ブレーブス」へ。
「日本のプロ野球でもボタンだったところが70年代に入ってプルオーバータイプが流行るんです。ほかにも、阪神や南海、大洋などはずっとプルオーバーでしたね。これもメジャーの流れ。ベルトレスだったり。ベルトレスだと(ベルトの部分を)カラフルでポップにできてアレンジもききます。」
1980年~<最後の前ボタンモデル>
前ボタンの復活と共に、これが「ブレーブス」最後の前ボタンモデルに。また、この頃からアンダーシャツが黒から赤に変わりました。
1984年~<最後の阪急>
再びプルオーバー。書体は筆記体から小文字に。襟は丸首からVネックへ。袖にはプロ野球史上初の球団マスコット“ブレービー”が登場。
「赤と黒がうまく使われて、この辺の時代ではけっこうレベルが高いユニフォームだと思います。ただ、アンダーシャツは黒のままの方が強そうには見えるかなと思いますけどね」
1989年~<Braves × ORIX>
そして、今回の「阪急~ORIX Buffaloes 80周年企画」で着用するのが、この「オリックス・ブレーブス」モデル。
これまでの“赤”のイメージから、ゴールデン・イエローとオリックス・ブルーと名付けられた“黄”と“紺”を用いられています。
「色に加え、文字のバランスなどもちょっと変えていますけど、同じような感じで(阪急からオリックスに)引き継がれていますね」
今回の「THE ORIGIN of Bs~蒼き勇者の閃光~」イベントは、9月3日(土)と4日(日)、11日(日)の3日間にわたって行われ、監督や選手たちは「オリックス・ブレーブス」モデルのユニフォームを着用する。
また当日は、OBによる始球式や当時の球場演出に復刻飲食メニュー、山田久志氏、福本豊氏、中沢伸二氏、山沖之彦氏といった、OBによるトークショーが行われる予定だ。
<イベント開催日>
オリックスvs日本ハム(ほっともっとフィールド神戸)
・9月3日(土)18:00試合開始
└OBゲスト:中沢伸二氏・山田久志氏
・9月4日(日)13:00試合開始
└OBゲスト:山田久志氏・福本豊氏
オリックスvsロッテ(京セラドーム大阪)
・9月11日(日)14:00試合開始
└OBゲスト:山田久志氏・山沖之彦氏
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大岩 Larry 正志
グラフィックデザイナー/ボイスアクター ONE MAN SHOW 代表。
2008年の西武ライオンズ交流戦用、 2009年の福岡ソフトバンクホークス「鷹の祭典」用、2010年にリニューアルされた名球会のユニフォームやグラフィック、2012年からは楽天イーグルスの「TOHOKU GREEN」などの夏季限定ユニフォーム やチャンピオンロゴデザインなどをデザイン。
2015年からは、初めてのセ・リーグチームとなる東京ヤクルトスワローズのCREW ユニフォーム、燕プロユニフォームのデザインも担当。今年のホーム・ビジターユニフォームのリニューアルも手掛けた。
また、アニメ「The World of GOLDEN EGGS」では、ボイスアクターとしての一面も。
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