安打のなかで単打が占める割合は80%以上
メジャー通算3000安打まで残り2本となったイチロー。現地時間1日(日本時間2日)からの6試合は、ビジターで行われる。
さて、過去メジャー3000安打を記録した選手は29人いて、イチローは30人目の選手となる予定だ。
イチローがメジャーで打った2998安打のうち二塁打は350、三塁打は92、本塁打は113、単打は2443。3000安打に到達した時点での単打の数はイチローが最多で、通算3000安打以上の選手の通算成績と比べても、単打は6番目に多い。
安打に占める単打の割合も当然高く、通算3000安打以上の選手のなかで唯一80%台の81.5%。長打は少ないが、コツコツと積み上げての大記録となる。
スラッガーではないが際立つ敬遠四球の多さ
イチローのプレースタイルについて否定的な意見を見かけることがあるが、そのひとつが「単打ばかりで恐さはない」というものだ。実際、単打の数は多いのだが、別の側面から見ればイチローはメジャー史上でも“屈指の強打者”とも言える。
イチローはこれまで619の四球を選んでいるが、通算3000安打以上の選手でイチローよりも四球が少ない選手は1900年代にプレーし、通算516四球のナップ・ラジョイ(クリーブランド・ナップス)のみ。
四球の数は少ないものの、イチローがメジャーで記録した敬遠四球は180ある。現役では、アルバート・プホルス(エンゼルス)、ミゲール・カブレラ(タイガース)、デイビット・オルティス(レッドソックス)に次いで4番目に多い。スラッガーが並ぶなか、イチローの存在が際立っている。敬遠四球の公式記録も残っている通算3000安打以上の選手で、イチローよりも敬遠四球を記録した選手は6人しかいない。
イチローは四球を積極的に選ぶタイプではないが、四球のなかで敬遠四球が占める割合は通算3000安打以上の選手で最も高いのだ(3.4四球にひとつが敬遠四球)。
現役で敬遠四球が多い選手を見てもわかるように、一般的には一発長打の多い選手が敬遠されがちだ。「単打しかない」と言われがちのイチローだが、ヒットを打つ能力の高さで勝負を避けられてきたことは称賛に値するのではないか。
文=京都純典(みやこ・すみのり)