宣言が確実視されていた
今年もいよいよストーブリーグが開幕。注目のFA市場がオープンした。
解禁となった10月31日は宣言者なし。静かな幕開けとなったが、中でも大きく取り上げられたのが中日・大島洋平の残留宣言だ。
地元・愛知の享栄高から駒沢大へと進み、社会人・日本生命で活躍。2009年のドラフト5位で中日に指名されると、俊足巧打を武器に1年目から104試合に出場した。
プロ3年目の2012年には144試合に出場を果たし、打率.310で初の3割超え。以降は5年連続で140試合以上の出場を続けるなど、中日の「1番・センター」として不動の地位を築き上げていた。
しかし、FA権を取得した途端に周囲はざわつき始める。中日ファンからも「移籍やむなし」という声が挙がったほど、このオフの権利行使は既定路線のように見られていたのだ。
一体、なぜ...。キッカケは2014年のオフにある。
契約更改を巡る争い
2013年シーズン。前年に初めての3割超えを達成した男は、ヒジの故障にも苦しみ成績が急降下。140試合に出場するも、打率は.248と大きく数字を落としてしまう。
このオフ、大島に提示されたのは7500万円(推定)から減額制限いっぱいの25%ダウン。球団全体で“大ナタ更改”が展開されたこともあり、その煽りを受けた格好にもなった。
それでも、これに奮起した男は2014年に復活。141試合の出場でキャリアハイの打率.318をマークし、球団最多記録に並ぶ186安打を記録。ところが、オフに球団から提示された額は7400万円。前年のダウン分を取り戻すこともできず、たまらず回答を保留した。
しかし、2度目の交渉でも球団側の提示は変わらず。結局3度目の交渉で大島が折れ、判を押したという経緯がある。
そんなこんなでせっかく手にした権利。より良い待遇のチームへ...という考えになるのも不思議ではない。
まさか?の“円満残留”
そして迎えた今オフ。大島は3回目の交渉で残留を決意した。
当初は「他球団の話も聞いてみたい」というトーンであったが、「(監督が)一番残して欲しい選手だと言っていると代表から聞きました。何度か電話もして、残って監督を優勝させてあげたいという思いで決めました」と大学の大先輩にあたる新監督からの言葉を受けて決断。
「正直悩みましたが今はもうスッキリしています、ドラゴンズは今年最下位だったので、来年はファンの方にもいい思いをしてもらいたいですし、来年に気持ちを向けてやっています、地元出身なので、もっと沢山の人にドラゴンズを応援してもらいたいです」と来季への意気込みも語った。
今季の推定年俸が9000万円だったことから、“大台超え”は確実。円満残留で年を越し、来年からは名実ともに中日を引っ張る存在としての期待がかかる。
残る外野手の動向は...
こうなってくると、市場全体への影響も気になるところ。
目玉と言われる糸井嘉男は宣言への意向を固めたと言われているが、ほかにも陽岱鋼や大島の同僚である平田良介、さらには聖沢諒など、今年は外野手に注目選手が多いだけに、その動向次第でほかの動きが決まってくるという部分も少なからずあった。
“玉突き”的な大移動が起こるのか、フタを開けてみれば今年も静かな秋となるのか。選手と各球団の動向から目が離せない。
▼ 大島洋平
生年月日:1985年11月9日(31歳)
身長/体重:176センチ/74キロ
投打:左投左打
ポジション:外野手
経歴:享栄高-駒沢大-日本生命-中日(09年・5位)
[今季成績] 143試 率.292(599-175) 本3 点27
[通算成績] 910試 率.280(3417-958) 本18 点157