黒田の穴を誰が埋めるか
2015年11勝、2016年10勝。広島に戻ってきた黒田博樹が残した数字だ。来季広島投手陣の課題は、この黒田の抜けた穴をどうやって埋めるかだ。他球団であれば補強を行うところだが、広島は自前で育てた有望な若手投手で埋めていくだろう。
第1候補は、大瀬良大地だ。来年で4年目となる大瀬良は、本来は先発型の投手。今季は先発として再起を期して臨んだものの、故障に加え昇格後、結果が伴わず夏場からは主に中継ぎを務めた。しかしルーキーイヤーの2014年に、いきなり2桁10勝を記録するなど、将来の広島を背負う投手と期待されたのも事実。
また大瀬良にとって、転機となりうるうれしいニュースも飛び込んできた。侍ジャパンの強化試合に、同僚の中崎翔太が選出されていたが、故障により辞退。代わって、大瀬良が日本代表に選出された。侍ジャパンでも、中継ぎとしての起用が濃厚だが、日本代表の資格を十分持つ選手と認められた証拠である。
九里も先発ローテ入りに期待
13年ドラフト2位の九里亜蓮も、先発を務めるだけの力がある。九里は、大瀬良同様ルーキーイヤーに先発ローテーション入りを果たす。その年の開幕2戦目の中日戦でデビューすると、6回1失点で初登板初勝利を挙げる。しかし、初勝利後は思うような結果を残せず、シーズンわずか2勝止まり。大瀬良ほどの活躍はできなかった。
昨季は未勝利に終わり、迎えた3年目の今季は先発・中継ぎの両方をこなし、27試合に登板したが、2勝2敗、防御率4.50の成績。亜細亜大学時代には、“戦国東都”と呼ばれるリーグで何度もリーグ優勝を経験してきた投手。大学時代の実績を考えると、まだまだその才能を発揮できていない印象だ。
ただ大瀬良と九里はまだ若く、互いにローテーションの一角として活躍する可能性を秘めている。今季は、前田健太が抜けた穴を27歳の野村祐輔が、16勝の活躍で見事にカバーしてみせた。来季は、黒田の穴を埋めなくてはいけない。大瀬良か九里か。2人にかかる期待は大きい。