虎が抱える大きな課題
阪神は21日、オリックスからFA宣言した糸井嘉男と契約合意した。
金本知憲監督は自身にとって“はじめての恋人”となる糸井を、見事に射止めた。それも本人に「金本監督の熱意に心を打たれた」とまで言わしめたのだから、阪神がどれだけ糸井獲得に熱意を持っていたかは想像に難くない。
今季史上最年長で盗塁王を獲得し、打っても14年に首位打者、守ってもゴールデングラブ賞を7度受賞するなど、走攻守揃った球界屈指のプレーヤーである糸井だが、中でも大きな期待がかかるのが“足”の部分だろう。
近年の阪神の中でも大きな課題とされているのがこの部分で、“超変革”を掲げて若手を積極的に登用した今シーズンも、チーム盗塁数は59個でリーグワースト。優勝した広島(118盗塁)とダブルスコアをつけられた。
以下は近年の阪神のチーム盗塁数と、チームの最多盗塁者をまとめたもの。
【阪神・チーム盗塁数】
2012年 65盗塁(3位)
2013年 81盗塁(3位)
2014年 55盗塁(6位)
2015年 48盗塁(6位)
2016年 59盗塁(6位)
※()はチーム盗塁数のリーグ順位
【最近5年間のチーム最多盗塁選手】
12年 17盗塁 大和
13年 19盗塁 大和
14年 20盗塁 上本博紀
15年 19盗塁 上本博紀
16年 13盗塁 鳥谷敬
衰え知らずの快足を...
ご覧のように、2012年と2013年はリーグ3位を記録したものの、ここ3年連続は機動力が影を潜め、リーグワーストのシーズンが続く。今シーズンに至っては、チーム最多が鳥谷敬の13個で、12年以降チーム盗塁王の常連だった大和、上本博紀はともに今季3盗塁に終わった。
そんな阪神に加入してきた糸井は、今シーズン一人で53盗塁を決めてパ・リーグ盗塁王を獲得。一人で阪神のチーム総数に迫る数を走ってしまっているのだからものすごい。
ケガに悩まされる年があっても、ここまで9年連続で2ケタ以上の盗塁をマーク。30盗塁以上を記録したシーズンは4度もあり、35歳を迎えた今年は自己最多を大幅に更新する53盗塁を決めるなど、衰えはまるで感じられない。
故障に対する不安はあるものの、チームを変える救世主としての期待も高い“超人”。虎の新たな象徴となれるか、来季がたのしみだ。