2年連続3回目の受賞が確実視されるカーショー(ドジャース)
毎年、ア・ナ両リーグで最も活躍した投手に贈られるサイ・ヤング賞。今季はヤンキースの田中将大投手が夏場まで白星を重ね、新人王とともに日本人初のサイ・ヤング賞受賞の可能性も取り沙汰された。過去にはランディ・ジョンソンが5回、ロジャー・クレメンスが7回受賞しているように、剛腕投手が受賞するイメージが強いが今年は一体誰の手に渡るのだろうか。
ナ・リーグはカーショー投手(ドジャース)が2年連続3回目の受賞で間違いないだろう。自己最多タイとなる21勝を挙げて、負け数はわずかに3。防御率も昨年に続き1点台(1.78)と非の打ちどころがない。奪三振は3個差の3位に終わり、投手三冠は逃したが、満票で受賞するかどうかが注目になるほど圧倒的なシーズンだった。
あえて対抗馬を挙げるとすれば、クエト投手(レッズ)とウェインライト投手(カージナルス)か。2人はともに20勝ちょうど、防御率も2点台前半と受賞の資格は十分ある。クエトの被打率(.194)はカーショー(.196)よりも低く、投球イニング(243回2/3)もカーショー(198回1/3)を大きく上回る。さらに1試合平均の援護点も規定に達した88投手のうちワースト6位の3.26と打線の援護がない中、20勝を挙げたのは立派だ。ちなみにカーショーは同5位の5.04とクエトに比べ1試合あたり2点近く援護が多かった。
ウェインライトは勝負どころの9月に5勝0敗、防御率1.38と活躍するなど、エースとしてチームを地区優勝に導いた。また完封勝利数はカーショーとクエトの2試合を上回る3試合記録したが、負け数(9)が多いのは不利になるだろう。
キング、シャーザー、クリューバー 決定打に欠けるア・リーグ候補の顔ぶれ
一方、ア・リーグは混戦となりそうだ。4年ぶり2回目の受賞を狙うマリナーズのヘルナンデス投手はチーム最終戦に勝利を挙げ15勝(6敗)に到達。防御率(2.14)のタイトルも獲得し、本命の一人であるのは間違いない。クオリティースタート(6回以上を自責点3以下)がア・リーグ最多タイの27試合あるが、完封勝利はおろか、完投が一つもなかったのはマイナスに働くかもしれない。
対抗馬は今年ブレークを果たしたインディアンスのクリューバー投手だ。2012年に2勝、13年に11勝と力はつけていたが、今年その才能が一気に開花した。18勝(9敗)を挙げ最多勝(3人がタイ)も獲得、防御率は2.44で3位、奪三振(269)は2個差の2位とア・リーグ投手三冠に最も近い投手でもあった。7月にはヘルナンデスとの投げ合いを3安打完封勝利で制している(試合は2-0)。
3人目の候補としてタイガースのシャーザー投手を挙げておく。2年連続のサイ・ヤング賞を狙うが、昨年の21勝3敗に比べると、今年は18勝5敗とやや物足りない。しかしチームが地区優勝を果たしたのはプラスに働くか。さらに9月のロイヤルズとの首位攻防では2試合に投げ、3-2と4-2という接戦となった試合でいずれも勝利投手になった。
3人以外ではプライス(タイガース)、セール(ホワイトソックス)、レスター(アスレチックス)の左腕3人も票を集めそうだ。来季は田中、ダルビッシュ、岩隈ら日本人投手もこのリストに名前が入ってくるような活躍に期待したい。