コラム

殿堂入りなるか!? “ステロイド時代”を生き抜いた名投手たち

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ランディ・ジョンソン氏が殿堂入りするか注目が集まる[Getty Images]
ランディ・ジョンソン ,

資格取得1年目で殿堂入りが期待される3人の投手


 現地時間6日(日本時間7日未明)に2015年の米国野球殿堂入り選手が発表される。昨年はグレグ・マダックス、トム・グラビン、フランク・トーマスの3氏がいずれも資格取得1年目ながら見事に殿堂入りを果たした。

 今年も資格取得1年目の元投手を中心に2~3人が殿堂入りするとみられている。大本命はマリナーズやダイヤモンドバックスなどで活躍した“ビッグユニット”ことランディ・ジョンソン氏。通算303勝、奪三振数はノーラン・ライアン氏に次ぐ史上2位の4875をマークするなど殿堂入りは確実で、得票率が史上初めて99%を超えるかどうかに注目が集まるほどだ。ちなみに過去最高は1992年に殿堂入りしたトム・シーバー氏の98.8%である。
 
 ジョンソン氏に続くのがレッドソックスやメッツでプレーしたペドロ・マルチネス氏だ。身長は約180cmと小柄ながら最多勝1回、最優秀防御率5回、奪三振王3回など数多くのタイトルを獲得した。また通算勝率(.687)は200勝以上挙げた投手の中では史上3位と“負けない投手”であった。

 2人に続くのが同じく資格取得1年目のジョン・スモルツ氏(元ブレーブスなど)や、前回2度目の挑戦でわずか2票足りず殿堂入りを逃したクレイグ・ビジオ氏(元アストロズ)など1990年~2000年代をにぎわせた面々だ。前評判ではジョンソン、マルチネス両氏が当確。その2人をスモルツ、ビジオ両氏が追う展開といわれている。


今より防御率が1点以上も高い『打高投低』の時代


 ここ数年は、打高投低だった1990年~2000年代に活躍した選手が候補になり始め、ひとつの傾向としてそういう時代に実績を残した投手が有利とされている。ビジオ氏は通算3060安打を放ちながら、今回だけでなく、ケン・グリフィーJr.氏やトレバー・ホフマン氏が資格を得る次回の殿堂入りも厳しいかもしれない。そういう意味では史上初の200勝、150セーブを記録したスモルツ氏が今年選出される可能性もある。同氏は今年逃したとしても、2~3年以内には殿堂入りするだろう。

 ここ数年のメジャーリーグは投高打低になったイメージが強い。ではいったいどれだけ投手優位になっているのか。そして、もし全盛期のジョンソン氏とマルチネス氏が2014年に投げていれば、どういう記録が生まれていたのかシミュレーションをしてみたい。

 ジョンソン氏はダイヤモンドバックス時代の2001年に21勝6敗、249回2/3を投げ、自己最多となる372三振をマークした。その年のメジャー全体の平均奪三振率は6.74。2014年の7.73と比較すると1試合(9イニング)で1チーム当たり1つ三振が多いことになる(14.7%↑)。2001年のジョンソン氏が2014年に投げたと仮定した場合、372→426三振という数字に。これは近代野球では1973年にノーラン・ライアン氏が記録した383三振を大幅に上回る。

 マルチネス氏はレッドソックス時代の2000年に18勝6敗、防御率は自己ベストとなる1.74をマークした。その年のメジャー全体の平均防御率は4.76。2014年の3.74に比べ実に1点以上多かったことになる(21.4%↓)。2000年のマルチネス氏が2014年に投げたと仮定した場合、防御率は1.74→1.37という数字に。これも近代野球では1968年にボブ・ギブソン氏が残した1.12に次ぐ大記録となる。2014年はドジャースのカーショー投手が唯一の防御率1点台(1.77)をマークしたが、2000年のマルチネス氏の数字(1.74)にも及ばない。

 上記のシミュレーションは、あくまで仮定の話ではあるが、殿堂入り候補の2人が打高投低だった時代にどれほどのパフォーマンスを見せていたかが分かる。

 引退して5年以上経過した選手だけが選ばれる殿堂入り。投手・打者の違い、球場の違い、年代によって打者優位・投手優位など、評価の基準は難しいが、メジャーリーグファンにとっては懐かしい選手たちの名前を聞き、彼らの当時の活躍を思い出すいい機会でもある。今年は“ステロイド時代”とも揶揄(やゆ)される、投手には厳しい時代を生き抜いた名投手たちが再びスポットライトを浴びることになるだろう。
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