コラム 2015.01.16. 18:34

シーズン以上にハッスル…!? 過去に多かった『オフに活躍した』選手たち

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80年代のプロ野球オフシーズンを盛り上げた加藤博一氏(大洋他) © KYODO NEWS IMAGES INC

“俺たちの時代”80~90年代のプロ野球を語り尽くそう -80年代オフに活躍する選手編-

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 最近のプロ野球選手はシーズンオフになっても、トレーニングを欠かさずに続けている選手が多い。シーズン中に活躍した場合には、TV番組やイベントなどに引っ張りダコとなることもあるが、ある程度トレーニングを優先した形でスケジュールを組んでいるという。フィジカル面のコンディションをある程度一定に保つことが、来年のパフォーマンスにつながるという考え方だ。

 ところが、我らが80年代の頃は、むしろ「オフはしっかり休む」というのが一般的なスタイルだった。また、プロ野球の人気も今より相対的に高いものがあり、オフにはどこのTV局でも一度くらいはシーズンを振り返る番組が放送されていたし、プロ野球選手がゲストとして招かれることも今より多かった。中には、シーズン中以上に張り切っているように見える選手がいたことも……?

 今回は、そんなオフのお祭り男を思い起こし、ランキングにして紹介していこう。


現役時代からオフの番組の準レギュラーを務めた加藤博一 屋鋪は運動会で12球団随一の快足を披露


 第1位は文句なしで加藤博一(大洋他)だ。この人のオフの活躍ぶりは見事だった。

 現役時代からフジテレビの『プロ野球ニュース』に頻繁に出演。オフの準レギュラー的な存在として覚えているファンも多いと思われる。西鉄・太平洋、阪神、横浜と渡り歩いた苦労人だが、どのチームにおいてもムードメーカーの役割を果たしており、阪神時代はピンクレディーなどタレントのモノマネを照れることなくやってのけることで知られていた。大洋時代のシーズン中には今でこそよく行われている外国人選手がホームランを打った後に他の選手と行う喜びのパフォーマンスなどの火付け役にもなった。

 もちろん、選手としても素晴らしく、小柄ながらバネ仕掛けのような瞬発力を披露。大洋時代には高木豊、屋鋪要とともに「スーパーカートリオ」の一角として活躍し、晩年はバットを水平に構えたノーステップ打法の代打屋として存在感を示し続けた。引退後は解説者として活躍していたが、ガンを患い56歳という若さで他界したのが惜しまれる。

 続いて第2位は屋鋪要(元大洋他)。加藤博一に続いて「スーパーカートリオ」からの選手となってしまったが、屋鋪の場合は芸達者ぶりではなく、一番のウリであった快足ぶりでオフも沸かせた。舞台は80年代から開催されるようになったオフの12球団対抗運動会。ここでの短距離走やリレーなどで、並み居るプロ野球選手の中でも突出した脚力があることを示したのである。

 すでに本業の野球でもレギュラーの地位を確立していた屋敷だが、むしろ運動会での走りっぷりでその存在を知ったファンも多かったはず。


80年代後半からオフ企画がバラエティ化 谷沢の存在は華やかなオフのイメージを象徴していた


 そして、最後に第3位として、谷沢健一(元中日)の名前を出しておきたい。

 「谷沢ってオフにそんな目立っていたっけ?」と、思った人も多いと思う。その通り!

 現役時代、他の選手と比べて特異な芸達者ぶりを披露していたわけではない。では、なぜ3位に選んだのかというと、むしろ谷沢が現役を引退して解説者になった頃である80年代後半のオフから、『プロ野球ニュース』(フジテレビ)の内容がバラエティ要素を加えたものに大きく様変わりしたからだ。番組の顔であるキャスターも、佐々木信也から野崎昌一アナウンサーに若返り、中井美穂など「野球のことをあまり知らない」女子アナを大抜擢して話題となった頃でもある。

 オフの企画についても、この動きに連動するかのように80年代中盤あたりから変化し始め、12球団対抗でのクイズ大会が開催されたり、選手とその妻による10分程度のミニドラマまで制作されるなど、スポーツニュースやスポーツバラエティというカテゴリーに一石を投じた。谷沢はまさにそうした新たな流れの象徴的な存在だったのである。これはオフに限ったことではないが、平松政次(元大洋)や大矢明彦(元ヤクルト)らとともに土日限定ながら解説者が番組のキャスターを務めたことも、当時としては斬新な試みであり、プロ野球選手の新たな在り方を示したと言っていいだろう。

 バブル好景気真っ盛りだったことや、当時のプロ野球の人気も相成って、この頃のプロ野球選手はオフになると大変華やかな光を放っていたのである。

文=キビタキビオ(きびた・きびお)

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