コラム

背番号94からの逆襲! 巨人の「1番・センター」を狙う橋本到の球歴とは

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7年目となる2015年シーズンはさらに飛躍が期待される巨人・橋本到 © KYODO NEWS IMAGES INC
橋本到 ,

超高校級外野手がドラフト4位、背番号94でプロの世界へ


 2012年からセ・リーグ3連覇中の巨人。昨季は9月26日にリーグ優勝を決めるなど安定感を見せつけたが、CSでは1勝4敗と阪神(2位)に完敗。日本シリーズ進出を阻まれ、尻すぼみという印象でシーズンを終えた。

 今季から坂本勇人がキャプテンに就任するなど、若手が育ってはいる。それでも、息切れせず日本一まで走り抜くためには、もうひとり、チームを勢いづける存在が必要だ。そこで注目したいのが、高校卒7年目の橋本到。172センチ75キロの体ながら、50メートル走6秒0、遠投120メートルを記録するという、抜群の身体能力を持つ選手である。長野久義が右ヒジと右ヒザの手術を受け、熾烈なレギュラー争いがくり広げられるジャイアンツ外野陣の一角に、今季こそ堂々と入ろうとしている。

 橋本は1990年4月生まれ、今年25歳。秋田県で生まれ、宮城県仙台市の少年野球チーム「鶴が森少年野球クラブ」で、本格的な野球人生をスタートさせた。中学時代は、硬式の「東北リトルシニア」に所属。投手を務めていたというが、3年時には全国大会出場など目立った記録は残っていない。それでも、小・中学生時代を過ごしたチームには愛着があるようで、オフにはそれぞれのグラウンドを律儀に訪れている。

 全国区で注目されるようになったのは、仙台育英高校(宮城)に進学してから。1年から外野手として頭角を現し、2年春、夏と甲子園出場。1学年上のエース・佐藤由規(現・ヤクルト)が投げるバックを守り、切り込み隊長としてヒットを量産した。

 新チームになると主将に就任。3年夏はチームを甲子園へと導いた。圧巻だったのが初戦。エース・西勇輝(現・オリックス)を擁する菰野高(三重)と対戦し、5打数5安打を記録したのだ。2回戦では、中村悠平(現・ヤクルト)率いる福井商業高に勝利。3回戦で、エース・土屋健二(現・DeNA)、2年生スラッガー・筒香嘉智(現・DeNA)がいた横浜高(南神奈川)に敗れたが、俊足、強肩、好打、勝負強さなど、長所を存分にアピールした。野球専門誌には、大田泰示(東海大相模高→巨人1位)、上本崇司(広陵高→明治大→広島)らと共に大きく取り上げられ、「守備と走塁はプロレベル」「青木宣親(当時、ヤクルト)とダブる」といった高評価が並んでいた。

 2008年秋のドラフトで、巨人は1~5位で高校生を指名(6位は大学生)。1位は、ソフトバンクとの抽選を経て交渉権を獲得したスラッガー・大田泰示。橋本は予想外ともいえる4位という評価で、背番号94をつけることになった。


「1番・センター・橋本」が巨人に勢いを与える!


 プロ入りしてしまえば、順位など関係ない。1年目の2009年、橋本は2軍で1番・センターのレギュラーとなった。イースタンリーグで106試合に出場し、打率.238、3本塁打。17補殺、202刺殺はリーグ1位。フレッシュオールスターでは1番を任され、優秀選手賞を獲得した。

 2年目も2軍で1番・センターの座を確保し、4月下旬に初の1軍昇格。プロ初出場はレフトの守備固め。守備機会なく終わったが、「すごく緊張して、体に変な力が入りました」と初々しいコメントを残している。翌日に迎えたプロ初打席は、空振り三振して振り逃げで出塁。走塁も評価されていた、橋本らしいデビューだった。

 背番号65となった3年目は、シーズン終盤に1軍昇格。主に守備固めながら33試合に出場し、CS出場も果たした。その勢いで「外野のレギュラーを取りたい」と臨んだ4年目は、現在もつける背番号32になった年。しかし、調子の波が激しいという評価を受け、1軍出場なし。年俸50万円ダウン(推定)となった会見では、「悔しさはあります」とコメントした。

 5年目となった2013年は、1軍35試合、2軍78試合に出場。7月には初のお立ち台、日本シリーズ先発出場も果たした。そして、プロ6年目の昨季は、1軍で103試合に出場。太ももの肉離れで戦線離脱、1試合5三振(プロ野球タイ記録)を喫するなどマイナス要素はあったが、打率.256、35打点、4本塁打、11盗塁。契約更改の席では「評価に値する活躍だった」と言われたそうで、倍増となる2800万円(推定)の提示に一発サインした。

 2015年の目標は「最低限、1年間1軍にいること。競争に勝ち抜いて日本一に貢献したいです」とキッパリ。競争相手の一人である亀井義行らと取り組む自主トレでは、トレーニングごとに火花を散らす様子が報道されている。

 原辰徳監督が「チームで1、2」と認める強肩は大きな武器。さらに、打って走る能力も持ち合わせている選手である。「1番・センター・橋本」が本領を発揮すれば、間違いなくチームに勢いがつく。
試合に出ればどの場面でも光り輝くイチローは、同じ高校卒のドラフト4位入団。そのイチローを憧れのプレーヤーの一人とする橋本致。7年目の飛躍は間違いないだろう。

文=平田美穂(ひらた・みほ)
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