コラム

プロ野球界に「2年目のジンクス」という言葉はもう存在しないのか…

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「2年目のジンクス」をもろともせずに活躍を見せた則本昂大[Getty Images]

「2年目のジンクス」は本来、当然の現象


 プロ野球界には多くのジンクスが存在する。最も代表的なものがいわゆる「2年目のジンクス」だ。ルーキーイヤーに活躍した選手は、翌シーズンに成績を落とすというものである。
 
 その原因にはさまざまなものが挙げられる。好成績を残し知名度が上がったことで、イベント参加や取材対応に追われオフに十分な休息や練習ができない。あるいは、他球団から研究され対策を講じられてしまう。周囲の期待が増したことによりプレッシャーで自滅してしまう……などなど。

 ただ、「2年目のジンクス」はある意味で当然の現象とも言える。どんな名選手であろうともキャリアを通して常に成績を向上させていくことは難しく、いいときもあれば悪いときもある。だから、当然のことなのだ。

 そもそも新人王を獲得するなど1年目から大活躍した選手の場合、前年の成績を上回るためのハードルが他の選手に比べて高い。逆に、1年目は鳴かず飛ばずでも、2年目にブレークする選手だっている。

今季は2年目の捕手3人に注目


 さて、それでは実際に「2年目のジンクス」は起きているのだろうか。以下は2011〜2013年シーズンの新人王6人と2年目の成績である。

・沢村拓一(巨人)☆2011年セ新人王
2011年:29試 11勝11敗 防御率2.03
2012年:27試 10勝10敗 防御率2.86

・牧田和久(西武)☆2011年パ新人王
2011年:55試 5勝7敗22セーブ 防御率2.61
2012年:27試 13勝9敗 防御率2.43

・野村祐輔(広島)☆2012年セ新人王
2012年:27試 9勝11敗 防御率1.98
2013年:23試 12勝6敗 防御率3.74

・益田直也(ロッテ)☆2012年パ新人王
2012年:72試 2勝2敗1セーブ 防御率1.67
2013年:68試 2勝6敗33セーブ 防御率2.76

・小川泰弘(ヤクルト)☆2013年セ新人王
2013年:26試 16勝4敗 防御率2.93
2014年:17試 9勝6敗 防御率3.66

・則本昂大(楽天)☆2013年パ新人王
2013年:27試 15勝8敗 防御率3.34
2014年:30試 14勝10敗 防御率3.02

 あらためて振り返ってみると、2年目に露骨に成績を落としているのは小川泰弘(ヤクルト)くらいだろうか。ただ、小川の場合は不運なけがによる3カ月の離脱の影響が大きく、それでも2桁に迫る勝利を挙げたのはむしろ立派過ぎるほどだ。

・菅野智之(巨人)
2013年:27試 13勝6敗 防御率3.12
2014年:23試 12勝5敗 防御率2.33

・藤浪晋太郎(阪神)
2013年:24試 10勝6敗 防御率2.75
2014年:25試 11勝8敗 防御率3.53

・大谷翔平(日本ハム)
2013年:13試 3勝0敗 防御率4.23
2014年:24試 11勝4敗 防御率2.61

 続いて、2013年に注目を集めた新人たちのルーキーイヤーと2年目を振り返ってみると、菅野智之(巨人)は2年目にして最優秀防御率のタイトルを獲得し、藤浪晋太郎(阪神)は松坂大輔(ソフトバンク)以来の高卒2年連続2桁勝利を挙げた。また、則本昂大(楽天)は田中将大(米大リーグ・ヤンキース)に続くチームのエースとなり、投手・大谷翔平(日本ハム)は二刀流反対派を黙らせるほどに急成長。
 
 成績を落とすどころか、継続して活躍、あるいは成績を向上させている選手が目立ち、近年のプロ野球を見る限り、どうも「2年目のジンクス」の信ぴょう性を疑わざるを得ない。もはや「ジンクスなどない」と断言してもいいのではないだろうか?

 さて、昨季の新人たちの2年目はどうなるだろうか。とくに活躍が目覚しかった新人王・大瀬良大地(広島)、石川歩(ロッテ)のほか、注目すべきは3人の捕手だろう。

・小林誠司(巨人)
2014年:63試 打率.255 本2 点14

・梅野隆太郎(阪神)
2014年:92試 打率.197 本7 点21

・森友哉(西武)
2014年:41試 打率.275 本6 点15

 投手に比べ新人が活躍するのが難しい野手、なかでも最もプロの壁が高いといわれる捕手で、小林誠司(巨人)、梅野隆太郎(阪神)、森友哉(西武)と、3人の有力新人が現れた。球界全体で捕手不足が叫ばれる状況において、打撃はもちろん、リードや守備面で彼らがどんな成長を見せるか。2015年シーズンの活躍が楽しみである。

文=清家茂樹(せいけ・しげき)
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