コラム 2015.02.08. 11:15

160キロ超の剛球、再び!4年ぶりの一軍マウンド目指すヤクルト・由規のこれまで

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4年ぶりの一軍マウンドを目指すヤクルトの由規© KYODO NEWS IMAGES
由規 ,

大谷翔平(日本ハム)の前に160キロを超えた「日本人最速男」


 昨季、最下位に終わったヤクルト。チーム打率.279はリーグ1位ながら、チーム防御率4.62はダントツの最下位……。「低迷の責任は投手陣にあり」と考えるのが妥当だろう。1日にスタートした沖縄・浦添キャンプでは、投手全員が初日からブルペン入り。プロとしての責任感と、「今年こそ!」の思いが強く伝わってくる光景だった。

 特に注目を集めたのが、8年目を迎える由規だ。2007年高校生ドラフト1巡目でヤクルトに入団。2010年には、当時の日本人最速となる161キロを計測。2011年9月に右肩を痛めて以来、一軍登板なし。手術と長いリハビリを経て、4年ぶりに一軍キャンプに帯同している。復活を期して、昨秋から上り調子で仕上げてきた成果を見せているのだ。

 由規の本名は佐藤由規。1989年12月生まれ、宮城県仙台市出身。その名を全国に知らしめたのは、2年夏、3年春、3年夏と3季連続出場を果たした甲子園だろう。しかし、野球関係者の間では、もっと前から知られた存在だった。

 小学4年から中学1年夏まで所属した「仙台東リトル」では、リトルリーグ全国大会、アジア大会を制覇し、アメリカで行われた世界大会に出場。決勝でアメリカに0対1と惜敗したが、その前のロシア戦ではノーヒットノーランを達成した。

 中学1年夏を過ぎると、創部2年目の仙台西部シニアに入団。2年秋からエースとなり、3年春には全国大会へ。東北連盟創立30周年による記念枠が設けられた大会で、本人も「運が良かった」と認める滑り込み出場だった。しかし、初戦で強豪・郡山シニア(奈良)を相手に大敗。降り続く雨による最悪のグラウンドコンディションでストライクが入らず、「自分に腹が立って」泣きながら投げたという。

 複数の高校から声がかかるなか、選んだ進学先は仙台育英高校。3歳上の兄は東北高校で、ダルビッシュ有(現・レンジャーズ)と同級生。よくあるパターンとして、兄と同じ高校へとなるものだが、小学6年の春休み(2001年)、センバツ準優勝を果たした仙台育英を夢中になって応援して以来、強く憧れていた同校を選んだ。

 1年春、背番号15でベンチ入り。当時は内野手だったが、1年秋から投手に専念し、前述したように、2年夏、3年春、3年夏と、チームを甲子園に導いた。2年夏は2回戦敗退、3年春は1回戦敗退、夏は2回戦敗退と、チームとしての結果は残せていない。だが、3年春に初めて150キロを計測すると、夏には当時の最速155キロをマーク。細身の体から投げ込む剛速球とスライダーで三振を奪いまくり、「みちのくのプリンスK」と名付けた媒体もあった。


長い長い苦しみを経て……チームと共に復活の道を


 2007年秋のドラフトは、高校生と大学・社会人に分けての分離開催。中田翔(大阪桐蔭高→日本ハム)、唐川侑己(千葉・成田高→ロッテ)と共に「高校生BIG3」と称された由規には、5球団が1巡目指名。ヤクルトが交渉権を引き当てた。

 由規は後に、「12球団のユニホームで、どれが似合うかなとコッソリ想像してみたら、一番似合うと思ったのがヤクルトだった」と明かしている。

 1年目は一軍で2勝1敗、イースタンリーグ(二軍)で最多勝(8勝)。2年目は5勝10敗と苦しむも、ほぼ年間を通してローテーションを守った。3年目は12勝9敗で、初の二ケタ勝利に当時の日本人最速となる161キロをマークする。そして、4年目となる2011年は故郷・東北が大震災に見舞われ、より強い思いで臨んだシーズン。しかし、夏までに7勝をあげた後、9月3日の巨人戦を最後に戦線離脱。それから右肩の痛みが癒えることはなく、一軍のマウンドから遠ざかった。

 戦線離脱から1年半が過ぎた2013年4月、ついに、右肩クリーニング手術に踏み切ることに。由規は自身のブログで「何処かで区切りをつけなきゃいけない」「何より投げたい。その気持ちが一番でした」と書いている。内視鏡を使った30分ほどの手術だったそうだが、そこからが本当の戦いだった。

 よくなったり悪くなったりをくり返し、ようやく光明が見えてきたのが昨年のこと。6月、二軍戦で約2年ぶりの実戦登板。1イニングながら三振も奪った。久々の一軍帯同となった秋季キャンプでは、社会人との試合で復活を強くアピール。今キャンプでの一軍帯同を勝ち取った。キャンプ初日を終えて、「緊張して動きが硬かったけど、初日にしてはいい感じだったと思います。今年は勝負の年。とにかく頑張っていきたいです」とコメント。まるで新人選手のような初々しさに、投げられる喜びがあふれている。

 空白の2年半を乗り越えて、復活のマウンドへ。あの剛球がうなりを上げるとき、ヤクルト投手陣は息を吹き返すはず。そんな期待を抱いて、キャンプ、紅白戦、オープン戦の由規を見守っていきたい。

文=平田美穂(ひらた・みほ)

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