コラム

“入り”の強さと奪三振率 沢村拓一の抑え転向を後押しする数字

実は試合への入り方を得意としている沢村


 今季の巨人は、阿部慎之助の一塁コンバートが話題を呼んでいるが、投手陣でも西村健太朗がリリーフから先発に、沢村拓一が先発からクローザーに転向する。

 2月21日のオープン戦初戦、2点リードの9回表に登板した沢村は広島打線を三者凡退に抑え、非公式ながらプロ初セーブを記録。「今季はこの形で戦う」という原辰徳監督の意思表示でもあった。

 2010年ドラフト1位で入団し、ルーキーイヤーから2年連続で2ケタ勝利を記録した沢村だが、最近2年はケガにも泣かされ5勝ずつと先発として結果を残したとは言えない。オープン戦最初の登板では文句なしの投球を見せた沢村に、クローザーとしての適性はあるのだろうか。過去の数字から探ってみることにする。

 と、その前に、沢村の過去のリリーフ登板を簡単に振り返っておきたい。最も多かったのは12試合に登板した2013年。その年は1勝1敗6ホールド、防御率は0.63と結果を残している。

 さて、クローザーの役割はリードを保ったまま試合を終わらせるということは言うまでもない。たとえ1イニングでも、「9回」は独特な緊張感があるというのは言うまでもないだろう。しっかりと抑えるためには、先頭打者を打ち取ることが何より重要となる。

 昨季、沢村は12試合に登板したが、初回の先頭打者に出塁を許したのは3度。そのうち1度はエラーによる出塁で、ヒットでの出塁は2度しかなかった。リリーフで登板した10月4日のDeNA戦も、最初の打者をしっかりと打ち取っている。試合への入り方は得意となタイプと見ていいだろう。

 一方、鬼門としていたのが7回で、計7失点とイニング別では最も失点した。7イニング以上を投げた試合は7度あるが、そのうち4度で失点。先発した試合で中盤以降に失点するケースが目立ち、試合の中でのスタミナに不安を感じさせた。この「粘れない」あたりも原監督にリリーフ転向を決断させた一因だろう。

高い奪三振率と少ない被本塁打


 次に、クローザーとして必要な条件といわれるデータを見てみよう。

 まず、あげられるのが奪三振率である。昨季の沢村は72回2/3を投げ66三振を奪い、奪三振率は8.17。各球団最多セーブを挙げた投手の平均奪三振率9.96には及ばないが、三振を奪う能力は高い。一方で、リリーフ登板時は14回1/3で18奪三振、奪三振率は11.30と高い数値を残している。短いイニングで、沢村のストレートがより生きている証だ。
 
 そして、クローザーに限ったことではないが、投手が最もやってはいけないことは即失点につながる本塁打を打たれること。その点でも沢村は優秀と言える数字を残している。

 昨季、沢村が打たれた本塁打は3本。9イニングあたりの被本塁打は0.37本。菅野智之と内海哲也は0.68本、杉内俊哉は1.05本、大竹寛は0.91本と主力先発陣と比べても澤村の被本塁打率は低い。本塁打が出やすい本拠地東京ドームでも、32回2/3で1被本塁打と簡単には打たれない点も魅力だ。今季もこのピッチングを続けられれば、結果はおのずとついてくるだろう。
 
 試合への入り方がうまく、三振を奪えて被本塁打は少ない沢村。クローザーとして確固たる地位を築くことができれば、V9以来となるセ・リーグ4連覇もグッと近づくに違いない。

文=京都純典(みやこ・すみのり)
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