コラム

巨人の新4番候補に名乗り! 「眠れる大器」大田泰示の球歴とは

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紅白戦で本塁打を放つなど存在感を示している巨人・大田 © KYODO NEWS IMAGES
大田泰示 ,

「眠れる大器」が圧巻の125メートル弾!


 阿部慎之助のファースト転向、坂本勇人のキャプテン就任、高橋由伸が兼任コーチに――。スター選手が話題を振りまき、今年も多くのファンを集めた巨人軍宮崎キャンプ。長嶋茂雄終身名誉監督が訪れた2月15日は、約3万4000人がサンマリンスタジアムに詰めかけた。そこで行われた紅白戦、白組(主力メンバー)の4番に座ったのが「眠れる大器」、7年目の大田泰示だった。

 それまで2試合の紅白戦では紅組(控えメンバー)の4番。7打数4安打と結果を残したこともあり、原辰徳監督が「白組4番」に据えたという。5番に阿部慎之助、6番に村田修一を従えての大抜擢に、大田は「びっくりしました」と言い、緊張しながらも「4番」をプレッシャーに感じないよう臨んだという。

 3回、1死一塁の場面で、新加入の右腕・マイコラスのスライダーをフルスイング。打った瞬間ホームランとわかる打球は推定125メートル。バックスクリーン右へ飛び込んだ。5回には右中間への二塁打。紅白戦3試合で12打数6安打4打点。長嶋終身名誉監督は、「ひょっとしたら、面白いよ、今年は」と笑顔でコメントした。

 大田泰示といえば、東海大相模高校(神奈川)時代、通算65本塁打を量産した右のスラッガー。2008年秋のドラフトで、ソフトバンクと競合の末に巨人が引き当てた「ドラ1」である。「高校生スラッガーは時間がかかる」といわれるものの、昨年までの6年間、1軍通算103試合、打率.214、4本塁打はあまりに物足りない。松井秀喜氏の後継者にと与えられた背番号55が昨年から44となったのは、球団からの喝だろう。ドラフト1位で獲得した巨人としては、大田を簡単諦めるわけにいかない。そして、大田にも巨人で、いや、原監督の下で成功しなければならない理由があるのだ。


広島の怪物球児と原監督の不思議な縁


 大田泰示の名前が全国に知られるようになったのは、東海大相模高校時代。1学年上に菅野智之(現・巨人)と田中広輔(現・広島)がいる強豪校でも目立つ、188センチの大型サードでスラッガー。甲子園出場はならなかったが、3年夏の神奈川県大会では、大会新記録の5本塁打に、決勝戦ではリリーフ登板。野球専門誌やスポーツ新聞が追いかけ、大田のワンプレーを大きく取り上げていた。が、それ以前、生まれ育った広島県福山市で野球を始めたときから、常に注目の的だった。

 小学5年生まではソフトボールをやっていて、野球を始めたのは小学6年生の春。福山市立城南中学校に入学すると、名門軟式クラブ「松永ヤンキース」に入部した。4学年上に上本博紀(現・阪神)、同級生にはその弟・崇司(現・広島)。大田を含めプロ選手3人を送り出したチームで、大田と上本崇司は1年生のときから3年生に混じって試合に出場。別格のプレーを見せていたという。

 中学2年生のとき、福山市民球場で行われた野球教室に講師としてやってきたのが、当時は解説者だった原監督など元巨人の選手たち。すでに180センチあった大田は、原監督から「でかいな! いいスイングしてるな!」と声をかけられ、その姿に「すごいオーラ」を感じたそうだ。さらに進学希望の高校を尋ねられ、そこで原監督が口にした自身の出身校「東海大相模」が心に残ったという。打っては柵越え、投げては130キロ超という怪物中学生には、県内外の強豪高校から多数の勧誘があった。そんな中で様々な縁にも恵まれ、「ああいう人になりたい」と憧れた原監督へとつながる道を選んだのだった。

 故郷を離れ、激戦区・神奈川でも屈指の厳しさで知られる東海大相模での日々。1年春から起用された大田は、必死に練習をこなし、食らいついていった。努力を積み重ねた結果の65本塁打に、栄光のドラフト1位。しかも、チームを率いる監督は、中学時代から憧れ続けた人。巨人の1位指名が決まると、大田は涙を流したという。

大田泰示 ,

原監督10年目のメモリアルイヤーに覚醒せよ!


 巨人入団後、期待に応えられなかった6年間。しかし、「覚醒」とされる兆しが、昨年後半から見えている。8月に1軍に定着すると、44試合で打率.249、打点12、2本塁打。9月17日の広島戦、マツダスタジアムで放った2年ぶりのホームランが逆転2ラン。さらに、リーグ優勝決定翌日のDeNA戦では、巨人軍81代目の4番打者に。主力を休ませるチーム事情もあったが、原監督の期待の表れに違いなかった。

 オフには高校の先輩・菅野らと共にハワイで自主トレを行い、万全の状態で臨んだ宮崎キャンプ。「クリーンアップの一角を打ってくれればと願っています」と話していた原監督の期待に応えた形になるが、大田は「もっと正確性を上げたい。スタメンを任されるには、まだまだ足りないです」と満足していない。

 まずは人材豊富な巨人外野陣の中で、どうやってスタメンを奪うか。大田の場合はもちろん、打撃でアピールするしかない。原監督10年目のメモリアルイヤーである2015年、長打力と確実性を兼ね備えた最強のバッターとして、リーグ4連覇、そして、日本一に貢献する。和製大砲・大田泰示の挑戦は続いていく。

文=平田美穂(ひらた・みほ)
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