MLBシーズン展望 ア・リーグ西地区編
ついに現地時間5日(日本時間6日)に迫ったメジャーリーグ開幕戦。もうすぐはじまる新シーズンの見どころや注目ポイントを、地区ごとに分けて紹介していく。
ア・リーグ西地区。昨季の順位は以下の通りだ。
1.エンゼルス(98勝64敗)
3.マリナーズ(87勝75敗)
4.アストロズ(70勝92敗)
5.レンジャーズ(67勝95敗)
【エンゼルス】
昨季は両リーグ最多の98勝を挙げ5年ぶりとなる地区優勝を果たすも、地区シリーズでロイヤルズに3連敗を喫し、あえなく終戦となった。
打線はア・リーグMVPのトラウトを2番に据え、メジャー最多得点をマーク。今季も主力打者は戻ったが、薬物再使用問題の渦中にいるハミルトン次第で超強力打線にもなり得る。
投手陣では昨季大ブレークを果たすも、ケガで出遅れが決まっているリチャーズが昨年同様の投球(26試合13勝4敗、防御率2.61)を見せられれば、2007から09年以来の地区連覇も視界に入ってくる。
【アスレチックス】
昨季はオールスターをリーグ最高成績(59勝36敗)で折り返すも、後半は29勝38敗と失速。地区3連覇を逃しただけでなく、ワイルドカードゲームでも逆転負けを喫し、ほろ苦いシーズンとなった。
今季はドナルドソン、モスといったパワーヒッターが抜け、バトラー、ゾブリストらが加入したが、打線の迫力はワンランク下がった印象だ。
先発陣は昨季ブレークしたグレイと自己最多15勝を挙げたカズミアーの2枚看板が健在。パドレスから移籍の先発3番手候補ハーンあたりが活躍すれば再び優勝争いに絡んでくるだろう。
【マリナーズ】
ハイレベルのこの地区でも前評判が高いのがマリナーズだ。昨季は5年ぶりにシーズン勝ち越し、最終戦までプレーオフ進出の可能性を残すなど大きく飛躍した。打線はクルーズが加わり、厚みを増した。昨季メジャー18位だった得点数がトップ10に入ってくるようなら地区独走の可能性も。
先発陣はア・リーグ屈指の右腕ヘルナンデスと岩隈は15勝以上が計算でき、パクストンとウォーカーも15勝以上のポテンシャルを秘めている。さらにメジャー1位の防御率を誇った救援陣を擁し、地区の大本命といって過言ではない。
【アストロズ】
ア・リーグに移り2年目の昨季は前年の51勝から70勝に勝利数を伸ばした。立役者は2001年のイチロー以来となる首位打者、最多安打、盗塁王に輝いた二塁手のアルテューベ。チーム得点数はメジャー21位ながら、本塁打は全体4位と長距離砲が多いのも特徴だ。
オフにはガティス、ラスマス、バルブエナという20発を期待できる選手を獲得し、シーズン200本塁打も狙える。課題の投手陣はグレガーソンの加入で救援陣は整備されつつあるが、先発陣に大きな不安が残ったままでは勝率5割到達も厳しいだろう。
【レンジャーズ】
昨季は、ストライキがあった1994年を除けば1986年以降で最も少ない67勝に終わった。今季は再び優勝争いも期待されていたが、ダルビッシュがシーズン絶望となった時点で期待値は大きく下がった。
昨季ケガで42試合の出場に終わったフィルダーや絶不調に陥った秋信守らが復活すれば得点力はリーグ平均以上のレベルは保てるだろう。ダルビッシュを失った投手陣は、マイナーから生きのいい若手2、3人の突き上げがなければ、シーズン90敗以上を覚悟したほうがよさそうだ。
【総評】
ア・リーグでは最もハイレベルな地区となりそうだ。破壊力抜群のエンゼルスとメジャー屈指の投手力を誇るマリナーズを小差でアスレチックスが追う展開になるだろう。
上位3チームはアストロズとレンジャーズからの取りこぼしをいかに少なくできるかがカギとなる。岩隈は15勝以上を求められる立場となり、一層の活躍に期待したい。藤川は故障のため開幕は間に合わなさそうだが、早い段階で復帰すればセットアッパーとしての活躍に期待も。
● ア・リーグ西地区の日本人選手
岩隈久志(マリナーズ)
メジャー4年目/33歳 投手
昨季成績:28試 15勝9敗 防3.52
MLB通算:91試 38勝20敗2S 防3.07
ダルビッシュ有(レンジャーズ)
メジャー4年目/28歳 投手
昨季成績:22試 10勝7敗 防3.06
MLB通算:83試 39勝25敗 防3.27
藤川球児(レンジャーズ)
メジャー3年目/34歳 投手
昨季成績:15試 0勝0敗 防4.85
MLB通算:27試 1勝1敗2S 防5.04
※ 年齢は満年齢