里崎智也が残したあの言葉 2015年もゴールデンイヤーになるか!?
昨季限りで現役を引退した里崎智也氏が、引退セレモニーで言ったこの言葉を覚えているだろうか。
「来年、2015年は21世紀に入ってから、千葉ロッテマリーンズが最も輝く5年に一度のゴールデンイヤーの周期がやってきます!」
2005年、レギュラーシーズンは2位に終わったが、プレーオフ(当時)を勝ち抜き、日本シリーズでも阪神に4連勝し31年ぶりの日本一に輝いた。
5年後の2010年もレギュラーシーズンは3位だったが、クライマックスシリーズを勝ち抜き、日本シリーズでは中日を破り5年ぶりの日本一。3位からの日本一は初めてで、その快進撃は「史上最大の下剋上」とも言われた。
あれから5年――。このオフの目立った補強はなく、シーズン前の予想では上位にあげる声はあまりないが、“ゴールデンイヤーの周期”に当てはめれば、今季はロッテが頂点に輝く可能性はある。そして、過去のゴールデンイヤーを見ると、ある選手がキーマンとして浮かびあがってくる。
今季13年目を迎えた今江敏晃だ。
2005年は、自身初の規定打席に達し、打率も3割を記録。日本シリーズでは8打席連続安打、シリーズ打率.667と新記録を樹立し、MVPに選出された。
2010年は、リーグ3位の打率.331、自己最多の77打点を記録。日本シリーズでも打率.444を記録し、2度目のMVPに選出された。千葉ロッテの日本一には、常に今江の活躍があったのだ。
今江が規定打席に達し、打率3割を記録したシーズンは前述の2005、2010年以外に、2008、2013年の4度だ。そのうち、08年は4位だったが、2013年はシーズン3位からクライマックスシリーズ・ファイナルステージまで進んでいる。
つまり、今江が打率3割を残せば、それだけチームの成績も上がるという歴史がロッテには存在する。
固定されつつある打順 デスパイネの加入も追い風になる
昨季のロッテは、チーム防御率がリーグワーストの4.14だったが、チーム打率もリーグ5位の.251、556得点と振るわなかった。
打順別試合数を見ると今江が8つの打順でスタメン出場し、根本俊一、鈴木大地、クルーズ、ハフマンは7つの打順でスタメンを経験した。ほぼ毎試合スタメンが入れ替わる状態にあって、地に足をつけた落ち着いた野球ができなかったと推測できる。
ところが、今季はどうだろう。まだ開幕したばかりとはいえ、今季は1番荻野貴司、3番角中勝也、4番今江、5番井口資仁、6番クルーズは固定。今江は27打数10安打、打率.370と好調だ(4日現在)。4番の今江が結果を残していることも打順を固定できている要因のひとつとみて間違いない。
ここに昨季45試合の出場ながら12本塁打を記録したデスパイネが、間もなく合流する予定だ。チームに不足する長打力を持ったデスパイネが加われば、打線の厚みが一層増すことになる。
確かに5年に一度の日本一はオカルトチックな話かもしれない。しかし、打撃陣だけではなく、投手陣も涌井秀章が完投勝利をあげるなど、昨季までの不振から脱しつつある。ここまでの戦いを見る限り、今年のロッテにはその話を実現させる力があるようにも見える。カギを握る男・今江がシーズンを通して素晴らしい数字を残せれば、5年に一度のゴールデンイヤーが現実となる可能性は十分あるのではないだろうか。
文=京都純典(みやこ・すみのり)