コラム 2015.04.21. 11:00

“投手力が軸”の中日を支えた柱!90年代に君臨した3人のエースたち

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90年代を支えたえエースながら今なお現役を続ける中日の山本昌[Getty Images]
山本昌 ,

『俺たちの時代』を語りつくそう~90年代中日エースランキング~


 近年の中日で絶対的なエースとして活躍していた吉見一起が、ようやく故障から本格的に復帰しつつある。しばらくは様子を見ながらの登板が続きそうだが、完全復調には程遠かった昨年に比べると今年は内容が良いので期待できるだろう。

 中日という球団は、球史を振り返っても伝統的に絶対的なエースが各年代で存在していた。古くはフォークボールの元祖・杉下茂、「権藤、権藤、雨、権藤」といわれた権藤博、アンダースローの速球派・小川健太郎、闘将・星野仙一、スピードガンの申し子・小松辰雄など、そうそうたる名前が連なっている。
 そして、それはもちろん90年代も例外ではない。今回はそんな90年代に活躍した中日のエースを振り返り、ランキングにして紹介していこう。

15年以上前のランキングに入る山本昌…


 第1位は今年で50歳となる「生きるレジェンド」山本昌だ。もうこの人しかいません。それにしても、今も現役なのに15~25年前のランキングに入ってくるなんて、どういうことだ!

 しかし、冷静に考えたら、山本昌の全盛期はむしろこの頃だった。1990年に自身初の2ケタ勝利となる10勝を挙げると、1993年に17勝、1994年には19勝、さらに1997年にも18勝と、90年代はバリバリの勝ち頭として馬車馬のように頑張っていた。

 ただいかんせん、山本昌が活躍したシーズンの中日が優勝に絡まなかったことで損をしている印象がある。毎年のように上位争いをしていながら、結果的に野村ヤクルトの躍進や巨人の「メークドラマ」など、劇的優勝の敵役に回ることが多かった。

 だからこそ、長く続けたことで強いスポットライトが当たるようになったのは大変喜ばしいことだ。

 今季は3月の教育リーグ・ソフトバンク戦で前の投手が掘った穴に足を入れて痛めてしまい、1球で降板するというアクシデントに見舞われた山本昌。心身ともに“痛い”スタートとなったが、なんとか再調整して1軍のマウンドに上がって欲しい。

 公式戦で登板するだけでも「レジェンド更新」だし、誕生日の8月11日以降に勝ち星を挙げれば「満50歳での勝利投手」という、とんでもない金字塔を樹立する。

99年の優勝時は間違いなくエースだった野口、カーブが代名詞のあの投手も…


 続いて第2位は野口茂樹をピックアップした。野口も山本昌と同様にアメリカ留学組で、帰国後はその資質と将来性を買われて積極的に起用された。

 だが、結果がなかなか出ずに1995年は3勝10敗。1996年には巨人戦でノーヒットノーランを達成したが、トータルでは5勝5敗。1997年は未勝利と伸び悩んだ。

 それがようやく花開いたのが1998年。難のあった制球力不足を克服すると、プロの投手としてはやや太めな体型に見合った重いストレートと、大きく曲がるスライダーのコンビネーションを軸に勝ち星を重ね、14勝を挙げた。

 さらに、翌1999年には19勝。上原浩治(巨人)が20勝したため最多勝は譲ったが、11年ぶりとなるチームのリーグ優勝に大きく貢献した。

 そして、最後に第3位はこの御方も「レジェンド」クラス。今中慎二を入れて締めようと思う。活躍した時期は1990年から1996年までの実質7年間のみだったが、その存在感は絶大だった。

 細身のしなやかな体から糸を引くようなストレート、そして、そのストレートと同じように鋭く腕を振りながらもスッポ抜けように上方に投じられ、そこから大きな弧を描いて落下してくるカーブ。さらに、ウイニングショットには今でいう「スプリット」に近い小さく落ちるフォークと、どれも一級品で、調子のいいときは相手チームの打線がぐうの音も出ないというくらいの快投を見せた。

 特にカーブが芸術的で、ときには球速が90キロ台を記録することも。そのため、いまだに抜けの良いカーブを形容するのに「今中ばりのカーブ」といわれることがあるほどである。当時を知る野球ファンの間では、それで十分通じてしまうことから考えても、やはり「レジェンド」として語り継がれていく“エース”といえるだろう。

文=キビタキビオ(きびた・きびお)

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