カブスの和田も補強対象?
開幕前の予想通りアメリカンリーグ東地区が混戦となっている。首位ヤンキースから最下位オリオールズまでの差はわずか4ゲーム(現地時間15日試合前時点)。昨季のオリオールズのように抜け出すチームは現れるのだろうか。
首位を走るヤンキースの原動力はリリーフ投手2人だ。抑えの切り札ミラーはここまでメジャートップタイの13セーブを挙げ、ベタンセスは18試合登板(同3位タイ)、7ホールド(同9位タイ)をマーク。ともに防御率は0.00とチームを牽引している。2位のレイズは先発のオドリッチとアーチャーの2枚看板がともに防御率2点台だが、3人目以降に不安が残り、打線の迫力も今ひとつだ。
3位レッドソックスは上原(8セーブ、防御率1.64)と田沢(6ホールド、防御率1.69)の日本人コンビは活躍しているが、チーム防御率がメジャーワースト2位。4位ブルージェイズは得点数がメジャートップながら、チーム防御率はワースト3位と台所事情はかなり厳しい。最下位オリオールズは先発5人のうち3人が防御率2点台をキープしているが、過去2年で29勝を挙げたティルマンが6点台、ノリスは9点台という惨状だ。
5チームの共通した課題はやはり先発投手陣であることは間違いない。先発陣の防御率を見ると、レイズこそメジャー5位の3.48をマークしているが、ヤンキースは14位、オリオールズ22位、ブルージェイズ28位、レッドソックス29位と軒並み低調。ヤンキースは田中将大とノバが故障から戻ってくれば先発陣の駒はそろうが、長いシーズンを乗り切れるかは微妙だ。レイズも左腕スマイリーが肩を痛め60日間の故障者リストに入り、今季の復帰は難しいとみられている。
どのチームも抜け出す力を持っているとは言い難く、7月のトレード期限に向けて主に先発陣の補強がテーマとなりそうだ。そこで名前が挙がるのが、あの日本人左腕である。今季カブスと1年契約を結び、開幕ローテーション入りが期待されたが、オープン戦で脚を負傷し、いまだにマイナーでの調整が続いている和田毅だ。3Aアイオワで今季6試合に投げ、防御率2.86。5月に入ってからは3試合で防御率0.92とメジャー昇格の準備は整っている。
しかしカブスに新たな先発投手獲得のうさわが報じられるなど、たとえ和田が昇格しても、再び先発ローテーションから押し出される可能性も否定できない。ヤンキース、レイズは先発陣の故障者、他の3チームは層の厚さと質にも問題を抱えており、左腕和田は格好の補強対象となり得る。トレード期限まで2カ月以上あるが、“ライバル球団が動く前に”と、早めに先発投手の補強に動くチームも出てきそうだ。その時、和田の名前も取り沙汰されることになるだろう。