コラム 2015.05.18. 10:30

2年目ながら堂々の新人王候補!「ハマのイチロー」をめざす関根大気の球歴とは?

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2年目の今季ブレイクに期待がかかるDeNAの関根大気©BASEBALLKING
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予想外(?)の絶好調! DeNA打線のホープ


 開幕から1カ月半。セ・パともに解説者が首位と予想したチームが軒並み下位をさまよい、文字通り予想外のチームが首位に立っている。セ・リーグで首位争いをリードしているのが、2006年以降、Bクラスに定着してきたDeNA。開幕の巨人3連戦は1勝2敗と負け越したものの、あれよあれよという間に首位へと躍り出た。

 チームを引っ張るのは「覚醒した4番」筒香嘉智。早くも三冠王の声が出るほどの凄みを見せているが、クリーンアップの前を打つセンター・関根大気の活躍もめざましい。開幕戦は代打で登場し、巨人の守護神・沢村拓一からプロ初ホームラン。プロ2年目。「19歳での開幕戦ホームラン」はリーグ最年少記録である。その後もチームの勝利に貢献するヒットを放ち、DeNA打線に欠かせない存在となっている。

 関根は1995年6月生まれ、もうすぐ20歳。愛知県春日井市出身で、小学1年から野球を始めた。春日井市立石尾台中学校時代は、軟式チーム「守山クラブ」に所属。伊藤大智郎(ソフトバンク育成)は3学年上の先輩にあたる。関根に全国大会出場の記録はないが、2年夏は豊田南クラブが、3年夏は松平中クラブが、それぞれ愛知県大会、東海大会を勝ち抜いて全日本少年軟式野球大会に出場。もともと中学軟式野球が盛んな地域にあって、ハイレベルな野球を身につけたのだろう。

 中学卒業後は、県内の強豪・東邦高校へ。1年秋からベンチ入りを果たし、レギュラーとなってからは主に1番・センターを務めた。細身の左投げ左打ちで、50メートル5秒8の俊足、遠投115メートルの強肩。「好打者タイプ」と評されてきたが、2年秋以降、長打力が開花。ホームランは高校通算33本に達した。在籍した3年間は甲子園に届かず、3年夏は5回戦敗退で高校野球を終えたが、関根への評価は揺るがず。地元の中日を含めた数球団がマークしていたという。

 2013年秋のドラフト。桐光学園高校(神奈川)の左腕・松井裕樹(現・楽天)に、地元球団・DeNAを含む5球団の指名が集中した。関根は、松井を外したDeNAが唯一の高校生として5位指名。母一人の手で育てられ、プロ入りを熱望していた関根に迷いはなかった。記者会見では色紙に「感謝」と書き、プロへの一歩を踏み出した。


「球界一のセンター」、そして、「ハマのイチロー」へ!


 年明けの新人合同自主トレの初日。「甘くない世界だと思いますが、何が何でも1年目から一軍で試合に出たいです」と意気込み、目標を一人ずつ叫ぶ段になると「数年後には、必ず球界一のセンターになります!」と声を張り上げた。

 担当した大久保弘司スカウトの「足の速さ、球をとらえる能力は高校生ナンバーワン」という評価そのまま、高校卒新人として14年ぶりとなる春のキャンプ1軍帯同。しかし、卒業式翌日に出場したオープン戦で結果を出せず、2軍落ち宣告。

 結局、ルーキーイヤーの一軍試合出場は3試合のみ。それでも、二軍では101試合に出場し、99安打32打点6本塁打、打率.271、盗塁12の好成績。フレッシュオールスター出場、イースタンリーグ努力賞受賞。新人王の資格を残しつつ、申し分ない1年目を終えたと言える。

 2年目の今年も、キャンプから1軍帯同。オープン戦を乗り切って開幕一軍をつかみ、前述のように、代打出場ながら開幕戦でホームラン。打った瞬間にいったと思ったという一打は「この1打席にかけていた」という渾身のフルスイング。「母親も見に来ていたので、打ててよかったです」と親孝行なコメントを残した。

 その後も、リーグトップの三塁打4本を放つなどインパクトのある活躍を見せる一方、規定打席には到達しておらず、まだレギュラーとは言い難い。DeNAの外野陣は、レフト・筒香、ライト・梶谷はほぼ決まり、センターの1枠を激しく争う状況にある。関根の課題は明白で、今季は左投手に対し、11打数1安打、打率.091。対右投手には打率.269(5月17日現在)なだけに、しっかり結果を残して信頼を勝ち得たい。

 昨年の新人合同自主トレで関根を見た中畑清監督は、「ティー打撃ではフォロースルーを大きく取ったり、どこかイチローを意識しているように感じた」と述べ、「イチローを越えろ! それくらい期待している!」と熱いエールを送った。愛知県出身、左打ちの外野手、ドラフト下位指名といった共通点から、「ハマのイチロー」と書かれたこともある関根。「すごいの一言で収まりきらない偉大な方ですから……」と恐縮しきりだったが、まずは今年、「DeNAのセンター」を獲得することからだ。

 目標として叫んだ「球界一のセンター」に、そして、同郷の大先輩と並び称されるようになる日まで――。挑戦は始まったばかりだ。

文=平田美穂(ひらた・みほ)

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