強いチームほど「逆転勝率」は高い!
DeNAの勢いが止まらない――。
5月17日終了時点の直近20試合では16勝4敗、勝率.800と、いよいよ攻勢を強めている。その勝ち方に、ひとつの特徴が見て取れる。とにかく逆転勝ちが多いのだ。先述の16勝のうち実に9勝が逆転での勝利である。
いまのDeNAは簡単には試合を捨てない。仮に先制点を許したとしても、しぶとくチャンスを作り、しっかりと得点に結び付けている。
昨季、対戦チームに先制を許した場合の勝率がセ・パそれぞれで最も高かったのは、巨人とソフトバンク。つまり、ペナントを制したチームであった。
具体的に数字を見てみると、相手先制時の巨人の勝率は.380(71試合27勝43敗1分)、ソフトバンクの勝率は.395(76試合30勝44敗2分)。対してDeNAは、勝率.299(87試合26勝60敗1分)に終わっている。また、それぞれリーグ最下位だったヤクルトは.265、楽天は.224と、下位球団の場合はさらに勝率が下がる傾向にある。
“横綱相撲の試合運び”が出てくれば……
さて、今季のDeNAを見てみると、相手先制時の勝率はなんと.462(26試合12勝14敗)。昨季の巨人、ソフトバンクをも大きく上回っている。5月に限って見れば、勝率は.778(9試合7勝2敗)にまで跳ね上がる。
得点を奪い競い、その得点を守り抜くことを目的とする野球というゲームにおいて、相手に先制を許せば勝率が下がるのは当然である。事実、DeNAが4月に喫した7連敗中は全ての試合で先制されていた。しかし、連敗脱出後のDeNAは、常識を覆し始めていると言えよう。
もちろん、それだけ多くの試合で先制されているということは、「先行逃げ切り」という、“横綱相撲の試合運び”ができていないということでもあり、もろ手を挙げて喜んでいる場合ではない。
ただ、今季のDeNAは、首位打者争いベスト10に5人がランクインするなど打線が好調。先制されればなすすべなく敗れていた昨季までの戦いぶりとは異なり、試合の最後の最後まで粘れているのだ。今の粘り強さに、相手を圧倒する“強さ”を見せる試合が加わってくれば、本当に「ある」かもしれない。
長い低迷を経て生まれ変わった“逆転のDeNA”。現時点において、プロ野球の主役であることは間違いない。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)