メジャーデビュー後は、登録枠の関係もあり即マイナーに降格
インディアンスの村田透投手が6月28日(現地時間)のオリオールズとのダブルヘッダー第2試合でメジャー初登板初先発を果たした。4回途中まで被安打4、うち被本塁打2、奪三振2、与四球1。味方のエラーもあり5失点を喫し、記念すべきメジャー初登板は負け投手となったが、約5年のマイナー生活を経てのメジャーデビューは意味のあるものだった。
大阪体育大から2007年大学・社会人ドラフト1巡目で巨人入りした村田。ケガもあり3年間で一軍登板はなく2010年限りで無念の戦力外に。同年12月にインディアンスとマイナー契約を結び、マイナーの1Aから一歩ずつ這い上がってきた苦労人だ。
今回のメジャー初登板は、ダブルヘッダーで登録枠が通常の25から26に拡大され、その枠を使っての昇格となったため、村田はマイナーの3Aに即降格。ただ、村田にはメジャーの舞台でのチャンスは十分に残されている。
現在、インディアンスはアメリカン・リーグ中地区で首位と8ゲーム以上離れた4位と苦戦。今後の展開にもよるが、プレーオフ進出の可能性がなくなれば、早めにチームの立て直しに入ることになる。来季以降の戦力整備を図る目的で、再び村田に声がかかる可能性は高いと見てよいだろう。その時にチャンスを生かしきれるか否か-―。村田の野球人生における、ひとつのターニングポイントになるかもしれない。ベンチ入りの登録枠が40に拡大される9月以降は、登板のチャンスが大きく広がるだろう。
大スランプに陥っている加藤豪将
村田同様にNPBで満足な結果を残せなかった選手や、NPBを経ずにマイナーリーグからメジャーを目指している選手の現状も簡単に見ておきたい。
DeNAを経て今季からテキサス・レンジャーズとマイナー契約を結んだ冨田康祐は、スプリングキャンプでは実戦で登板するなど期待も大きかった選手。現在は1A級に所属し、4試合の登板で防御率2.70、勝敗はまだついていない。
加藤豪将は、アメリカの高校在籍中にニューヨーク・ヤンキースがドラフトで指名したことで日本でも話題となった選手だ。2013年のルーキー級から順調にステップアップしていたが、今季は極度のスランプに陥り、5月下旬には1Aの選手登録から外され、延長キャンプからルーキー級に戻された。そこでも打率.194、31打数で11三振と苦しんでいる。
野球ファンであれば、彼らにはぜひマイナーから這い上がってメジャーの切符を手にしてほしいと感じるだろう。しかし、実際、その境遇にある選手にとっては容易なことではない。メジャーには球団が30あり、各球団が複数のマイナー球団を傘下にしている。基本は一軍か二軍というNPBの規模からしたら、想像もつかない世界である。マイナーでプレーする膨大な選手数だけでなく、登録枠や細かい契約の問題もあり、実力がそのまま反映されないケースだって珍しくない。そんな厳しい世界に生き、メジャーの舞台にたどり着けることができたら、それはその選手にとっての夢の実現だけでなく、これからメジャーを目指していく日本人のプレーヤーたちにとっても貴重なケーススタディーになる。
その好例となった村田の再昇格とともに、少しでも多くの日本人選手がメジャーの舞台に立つことを願いたい。
文=京都純典(みやこ・すみのり)