打撃は平均レベルも…
オフシーズンにパブロ・サンドバル、ハンリー・ラミレスといった強打の選手を補強し、打線はアメリカン・リーグでも屈指といわれたボストン・レッドソックス。
開幕前は東地区で優勝争いをするという声も多かったが、ここまでの成績は47勝59敗の借金12。首位ヤンキースと13ゲーム差の最下位と苦戦を強いられている。勝率.443はリーグでオークランド・アスレチックスと並ぶ低い数字だ。
7月末のいわゆる“駆け込みトレード”での目立った補強もなく、プレーオフ進出はほぼ絶望的となっているが、今季の苦戦の要因は投手陣にある。
チーム打率はメジャー30球団の中で8位の.258、得点も11位の446点と平均レベルだが、チーム防御率は28位の4.52、先発陣の防御率も28位の4.90だ。せっかく野手が得点をあげても、投手陣が吐き出してしまっているのが今季のレッドソックスなのである。
その不調の投手陣において、チームに欠かせない存在となっているのが上原浩治と田沢純一の日本人リリーフコンビだ。
クローザーの上原はここまで41試合に登板し、2勝4敗23セーブ、防御率は2.33。セーブがつく場面で25回登板し、23回の成功を記録。セーブ成功率は92%だ。レッドソックスのワールドチャンピオンに貢献した2013年の成績(73試合、4勝1敗21S、防御率1.09)同様に、クローザーとして文句ない成績である。
1イニングあたりに許した走者の数を示す指標WHIPを見てみると、上原は0.91を記録している。これは、今季のメジャーで20セーブ以上あげている20人の中では3番目に優秀な数値。41試合中21試合と半分以上の登板でヒットも四死球も与えないパーフェクトなピッチングを見せている。
とにかく走者を出さない投手。それが上原なのである。
田沢と上原が揃って投げた試合は21勝5敗!
上原につなぐ役割を担っている田沢は、チームトップの47試合に登板し2勝4敗、防御率は2.93。メジャーでフルシーズン投げるようになってから今季で3年目となるが、年々防御率がよくなっている。
WHIPも昨季の1.19から1.11と改良された。その要因は与四球を減らしたことにある。今季、田沢は45イニングを投げ、与えた四球は7個。9イニングあたりの与四球率は1.37となっており、昨季の2.43から1個以上も減らした計算になる。
一昨年から昨年にかけては被本塁打が減り、今季は与四球が減った。目立ちはしないが、田沢は年々課題を克服していると見ていいだろう。
今季、田沢と上原のふたりが揃って投げた試合は21勝5敗、勝率にして.808。ふたりにつなぐことさえできれば、かなりの確率でレッドソックスは勝利をおさめることができるということだ。
先発投手陣が心もとなく、勝ちパターンになかなか持ち込めない状況ではあるが…。頼りになる日本人投手のリレーで、少しでも多くの勝ち星に結び付けてほしい。
[※数字はすべて日本時間8月3日現在]
文=京都純典(みやこ・すみのり)