打率以外に生還率もリーグワーストだった巨人
野球中継の際、走者を二塁か三塁に置いた場面で打者を迎えたときに「得点圏打率」が表示されることをよく目にするだろう。その選手がチャンスに強いか否かを示す数字のひとつである。しかし、得点圏に走者がいなくても得点が入る場面も当然ある。例えば、1アウト三塁で打者が内野ゴロを打ち、三塁走者が生還したとする。打者の得点圏打率は下がるが、実際には得点が入る。そこで、今季各球団がどれだけ効率よく得点をあげたのかを調べてみた。
算出方法は以下の通りだ。
これにより、出塁した選手を本塁打以外でどれだけ効率よく本塁に迎え入れたかを計るのである。得点圏打率と生還率ではどれぐらい差があるのだろうか。
まずは、セ・リーグから見てみよう。
チームの得点は、ヤクルトの574点でトップ、以下DeNA508点、広島506点、巨人489点、中日473点、阪神465点。
得点圏打率は、DeNAが.270でトップ。以下ヤクルト.268、巨人.252、中日.248、阪神.239、広島.235となっている。
生還率は、ヤクルトが25.14%でトップ。以下DeNA22.73%、中日22.42%、阪神22.29%、広島22.15%、巨人21.90%だった。
巨人は得点圏打率こそリーグ3位の.252だったが、生還率はリーグワースト。チーム打率も低かったが、生還率がもっと良ければもう少し得点も増えたはずだ。打率に限らず、生還率も低かったために、貧打の印象が強くなったのではないだろうか。
また、DeNAは得点圏打率こそリーグトップだったが、生還率がヤクルトと開きがあった。それがヤクルトと56点も得点が開いてしまったと考えられる。
意外にも生還率が高くなかったソフトバンク
次にパ・リーグを見てみよう。
今季のパ・リーグは、得点、打率、得点圏打率の順位がすべて同じだった。ソフトバンクが651得点、打率.267、得点圏打率.279。西武が631得点、打率.263、得点圏打率.277。日本ハムが615得点、打率.258、得点圏打率.270。ロッテが561得点、打率.257、得点圏打率.263。オリックスが519得点、打率.249、得点圏打率.254。楽天が463得点、打率.241、得点圏打率.245。
生還率は、ロッテが26.63%でトップ。以下日本ハム26.49%、ソフトバンク24.84%、オリックス24.28%、西武24.15%、楽天21.13%と続く。
圧倒的な強さを見せたソフトバンクだったが、意外にも生還率はリーグ3位。効率よく得点したとはいえず、生還率があがったらどこまで強くなるか……想像するだけでも恐ろしい限りだ。ロッテは、得点圏打率は高くなかったが生還率がトップ。走塁など、数字には表れない部分で得点を多くあげていたと考えられる。
本塁打による得点を計算するのは少々手間がかかるが、生還率の算出方法は難しいことではない。得点圏打率以外に、生還率にも注目してみるのもチームの戦いぶりを振り返るうえで面白い数字だと思う。
文=京都純典(みやこ・すみのり)