「大物」ぶりを発揮する中日・小笠原
今年のキャンプは、ルーキーの一軍スタートが目立つ。
数えてみると、実に32人。12球団ともレギュラー争いが激化する中で、ルーキーのレベルが非常に高い。
ヤクルトの原樹理(ドラフト1位)、巨人の重信慎之介(ドラフト2位)、阪神の坂本誠志郎(ドラフト2位)、広島の岡田明丈(ドラフト1位)、DeNAの今永昇太(ドラフト1位)、オリックスの大城滉二(ドラフト3位)などなど...気になる選手を挙げていくだけでもキリがない。
中でもすごいのは、高卒ルーキーの3人が一軍スタートになったことだ。
まずは、中日ドラフト1位の小笠原慎之介。東海大相模高で、昨夏の甲子園の優勝投手になった逸材だ。
左腕で最速151キロを投げる本格派。速球以外にもカーブやチェンジアップ、スライダーが武器で、高卒ルーキーにしてすでに出来上がっているという即戦力候補の呼び声も高い。
キャンプ中には打撃投手を務め、簡単に打ち返されるなど、さっそく“プロの洗礼”を浴びた。それでも、「チームメートに投げるのは難しいし、緊張する。まだ40点ぐらいですかね」と余裕の表情をみせる強心臓ぶりを発揮した。「こいつは、大物だな」…。ある首脳陣は小笠原の将来を楽しみにしているという。
中日の高卒ルーキー左腕といえば、巨人戦で史上初の初登板ノーヒットノーランを達成した近藤真市を思い出す。
当時から初物に弱いと言われていた巨人打線だったが、まさかノーヒットノーランをくらうとは…。当時の誰もがそう思った。
21日には谷繁元信監督が打席に入る中、熱のこもったブルペンを披露。“対戦”した谷繁監督も、その球威に「ほーっ」と感心しきりだった。
野手でも2人が一軍に帯同
野手では、ロッテのドラフト1位・平沢大河が一軍スタートだ。
仙台育英高で昨夏の甲子園に出場し、3本塁打を記録。その打撃センスで注目を集めた。
「自分のレベルとプロのレベルの差を感じました。それを発見できことが、このキャンプの成果です」と初々しく語っているが、開幕一軍に加えて開幕スタメンまで期待する声が多く挙がっている。
もう一人、活きの良い高卒ルーキーがいる。楽天のドラフト1位・オコエ瑠偉。一軍キャンプに帯同し、連日のようにメディアをにぎわせた。
昨夏の甲子園では、関東一高のトップバッターとして鮮烈な全国デビューを果たした。1イニング2本の三塁打を放ったのは史上2人目。50メートル5.9秒の快足を生かし、一塁強襲の内野安打を二塁打にしてみせた。
「甲子園が陸上競技場に見えた」と観客が錯覚するほどの驚異的なスピード。プロのキャンプでは、打撃で早くも壁にぶつかっているようだが、センターに起用されれば広い守備範囲を披露し、塁に出ればうるさい選手と評価は高い。梨田監督も「走塁と守備は、すでに一軍クラス」と太鼓判を押した。
高卒ルーキーが1年目から活躍するケースは、意外に少ない。近年では特に稀だ。だからこそ、この3人には1年目からがんばってほしい。
ここ数年、スーパールーキーの出現というのはあまりないからこそ、“ルーキー当たり年”の今年は期待してしまう。