1位指名を推す声も…大学球界を代表する内野手
楽天のドラフト1位・オコエ瑠偉が注目を集めるなか、同じルーキーで開幕一軍を虎視眈々と狙っている選手がいる。早稲田大学からドラフト3位で入団した茂木栄五郎だ。
早稲田大時代は1年春からレギュラーを獲得。打率.267、10打点でリーグ優勝に貢献し、いきなりベストナインに選ばれると、3年秋には.514という驚異的な打率で首位打者に輝いた。
ドラフトイヤーとなった4年春は、打率.390、リーグトップの5本塁打を放って2度目のベストナインを獲得。全日本大学選手権でも打率.615、2本塁打を記録し、チームを3年ぶりの優勝へと導いた。
国際大会の経験も豊富だ。3年春にはハーレムベースボールウィークで日本代表に選ばれると、昨年6月に行われたユニバーシアードでも日本代表に選出。大会を通して.462という高打率を残し、世界一に貢献している。
迎えた昨秋のドラフト会議。1位指名もあるのでは...と報道されていたが、蓋を開けてみれば3位、全体でも36番目の指名となった。
実績は申し分ない茂木が36番目まで指名されなかった理由のひとつは、体調面の不安だろう。
大学2年の秋に、桐蔭学園高時代から患っていた不整脈の手術を受けた。さらに昨年は腰を痛め、秋のリーグ戦では打率.200と低迷。こういったことも影響し、各球団が手を挙げづらかったというわけである。
怖いもの知らずで突き進む
体調面に不安があるとはいえ、実力は文句なしだ。
171センチと身長は低いが、スイングの速さ、強さはプロのなかでも際立つものがある。
ボールがバットに当たったときの音は、「カーン」というより「バン」といった破裂音に近い。当てにいくようなバッティングではなく、フルスイングをしながらも空振りは少なく、コンタクト能力が非常に高い。
守りに関しては、肩に不安こそあるものの、二塁と三塁をそつなくこなすことができる。
このオフ、楽天はFAでロッテから今江敏晃を獲得したが、ケガのため調整が遅れている。二塁、三塁ともに確固たるレギュラーはいない状況であり、チャンスは大いにあると見ていいだろう。
2月14日に行われた韓国・ハンファとの練習試合では、3回にセンター前ヒットを放ち、三塁の守備でも痛烈な打球を処理してアピール。2月16日の阪神との練習試合でもライトへ二塁打を放ち、2月20日の阪神戦でもレフト前にタイムリーと、実戦に入っても着実に結果を残している。また、この試合では途中から遊撃の守備にもつき、起用の幅をさらに広げた。
オコエのような圧倒的なスピードがあるわけではなく、派手さでも劣るかもしれない。しかし、開幕一軍や開幕スタメンの可能性は、茂木のほうが俄然高いだろう。高校生と大学生の違いがあるとはいえ、茂木の打撃は一歩も二歩も抜けている。
今はまだメディアに報じられる機会は少ないが、「楽天に茂木あり!」という声を耳にするのもそう遠くはないはずだ。
文=京都純典(みやこ・すみのり)