プロ5年目まで通算15安打
2015年オフ、現役最年長選手だった山本昌をはじめ、一時代を築いた選手が相次いで引退した中日。投手、野手ともに世代交代が一気に進みそうな気配だが、もうひと花咲かせようとしているベテラン選手がいる。
今季21年目を迎える荒木雅博は、昨季97試合の出場で打率は.251に終わった。出場試合数が100試合に届かなかったのは2000年以来15年ぶりのことだった。ソフトバンクから移籍してきた亀沢恭平に二塁のスタメンを譲ることが増え、スタメン出場は49試合に留まっている。
今季もその亀沢や堂上直倫と激しいポジション争いを繰り広げることになるが、荒木は通算2000安打まであと110本に迫っている。2013年以降、110安打以下のシーズンが続いているため今季中の達成は厳しいと言わざるを得ないが、将来的に到達すれば荒木は通算本塁打が最も少ない2000安打プレーヤーとなる可能性が高い。
昨季まで荒木のプロ通算本塁打は32本。これまで2000安打以上を記録した選手のなかで通算本塁打が最も少ないのは、宮本慎也(元ヤクルト)の62本である。
また、荒木はプロ5年目までの通算安打は15安打となかなか一軍に定着できなかった選手でもある。過去、高校からプロ入りし2000安打以上を記録した選手のなかで、プロ5年目までの通算安打が最も少なかったのは駒田徳広(巨人~横浜)だが、それでも110安打を記録している。荒木は高卒でプロ入りした選手のなかで、最も長く下積みを経験した2000安打プレーヤーとなるかもしれない。
通算本塁打が最少で2000試合出場達成がほぼ確実
2000安打より可能性が高いのは、残り10試合に迫っている2000試合出場だ。通算2000試合出場は過去48人と、2000安打の46人と差はない。
中日の生え抜きで通算2000試合以上に出場したのはこれまで高木守道、木俣達彦、立浪和義の3人しかいない。
前述したように、荒木の通算本塁打は32本だが、2000試合出場達成時の最少本塁打は宮本慎也の62本。最少本塁打での2000試合出場達成を荒木が更新することはほぼ確実だ。
荒木のシーズン最多本塁打は2001、2008年の4本。シーズン5本塁打以上打ったことがない選手が2000試合達成となれば史上初のことだ。
規定打席に達しての打率3割は2006年だけと、打撃では目立つ成績をあげてこなかった荒木。それでも2000試合に届きそうなほど現役生活を続けられたのは、2004年から6年連続でゴールデングラブ賞を獲得した守備力と、高木守道が持つ通算盗塁の球団記録369まで残り9と迫っている走力にある。
そして、シーズンを棒に振るようなケガをしなかったという点も見逃せない。2002年に初めて規定打席に達して以降2012年まで、11年連続で規定打席に到達。落合博満監督時代は8年間で4度のリーグ制覇を達成したが、すべてのシーズンで規定打席に達した選手は荒木だけだった。
世代交代の波が押し寄せるなか、荒木がどこまで食い下がるか。若手にはまだ譲れないというプレーを少しでも多く見せてほしい。
文=京都純典(みやこ・すみのり)