オリックス逆襲のキーマン
昨シーズンは大型補強を敢行しながらも、故障による主力選手の離脱が相次ぎ、打線が線になりきれず、当初の期待とは裏腹に本領発揮といかなかったオリックス。
今年は5位に終わった昨年を上回ることはもはや絶対条件で、上位球団と比較してもなんら遜色のない戦力からしてみれば、優勝戦線に躍り出ることも大いにあり得る。
そんなオリックスに加入した新助っ人の中でも注目なのが、ブライアン・ボグセビックとブレント・モレルの2人だ。
1月末に行われた入団会見では、「選手、コーチ陣、ファンも野球に対して真剣な姿勢。自分もその一員になりたい」と誠実な言葉で報道陣にメッセージを届けたボグセビック。一方のモレルも、「守備、走塁、打撃なんでもこなせる」と日本球界で実力を誇示する自信を覗かせてくれた。
熾烈な4番争いから抜け出すのは…
4番候補として期待されるボグセビックは、その異色の経歴からも注目を集めている。
左打ちの外野手で、メジャーでは通算321試合の出場。通算打率は.238で、19本塁打、67打点という記録が残る。
ヒューストン・アストロズ時代の2012年には、シーズン7本塁打で15盗塁を記録しているボグセビックだが、ドラフトでアストロズに入団した時は「投手」だった。
ところが、投手としてのメジャー昇格は叶わず、08年に野手へ転向。そのパンチ力もさることながら、マイナー通算盗塁成功率84.0%、メジャー同77.4%を記録した健脚振りも、元投手とは思えない光るものを持っている。
先日行われた20メートル走のタイム測定でも、糸井嘉男や小田裕也といった俊足自慢の選手達を差し置いて堂々の1位。平野強化担当も「身体能力はすごい。何の競技でもこなせそう」と驚きの表情を見せた。
一方のモレルは、元阪神マートンを彷彿とさせる打撃フォームが特徴的な右打ちの内野手。シカゴ・ホワイトソックス時代の2011年には、126試合に出場し10本塁打を記録している。
強肩が持ち味の三塁手だが、過去には内野全ポジションと右翼手に就いた経験もあり、ボグセビック同様、高いポリバレント性が魅力だ。
25日に行われた斗山ベアーズ(韓国)戦では、「3番・中堅」に入ったボグセビックが一発を含む2安打3打点の結果を残せば、「4番・指名打者」で出場のモレルも最初の実戦で2安打1打点と周囲の期待に応えた。
さらにボグセビックは2日に行われたオープン戦でも、1番に入ってロッテの石川歩から逆方向のレフトスタンドまで放り込む先頭打者弾を披露。順調ぶりをアピールしている。
外国人を4番に据える方針を明かしている福良淳一監督。ボグセビックとモレルに、加入2年目を迎える大砲トニ・ブランコを加えた三つ巴の4番争い…。「嬉しい悩み」と笑顔をこぼす福良監督のお眼鏡に適うのは、どの選手だろうか。