真価が問われる「本当に大事な1年」
高卒ルーキーが球界を賑わすことになりそうな2016シーズン。ただし、鳴り物入りでプロの世界にやってきながら、期待通りの結果を残すことの難しさは論を待たない。
それは大卒であっても、社会人からでも同様で、まだまだ発育途上にある“高卒ルーキー”であれば、その倍率はさらに高い。幸先よくスタートを切ったとしても、大なり小なりプロの壁が行く手を阻み、「進化」が求められるだろう。
そうした挫折や葛藤に敗れ、日の目を見ずに第一線から退いていった選手も数多くいる。プロの世界とは、それほど残酷で険しいものだ。
「2年目ということで研究されてきて、本当に大事な1年になる。まずはしっかり結果を残すことだと思います」と語るのは、プロ2年目を迎える西武の19歳・高橋光成だ。
前橋育英高で、2年生時に甲子園優勝を果たした若き右腕。2014年のドラフト1位で西武に入団した。
昨季は球団の育成方針から前半を二軍で過ごすが、チーム事情により8月に一軍昇格を果たすと、その月リーグトップの4勝をマークして月間MVPを獲得。高卒ルーキーの月間MVP受賞は、パでは清原和博、松坂大輔に次いで3人目。しかも、18歳6カ月での受賞は、松坂の18歳10カ月を更新し、両リーグ通じて最年少記録だった。
高まる周囲の期待に応えられるか…
こうした記録の樹立も相まって、高橋は松坂や涌井といった、過去に西武で「高卒ドラ1」から「エース」へという流れで活躍した先輩投手と比較されるわけだが、その可能性は二人となんら遜色はない。
2月21日に行われた韓国ロッテとの練習試合では、2番手で登板し、4イニングで4奪三振含むパーフェクトな投球を披露。ただ、14日の紅白戦では失策も絡み4回7失点と、不安定な一面も露呈している。
試合後、「試し試しのところがあって、自信を持てずに投げてしまった」と語った高橋。「相手も研究してくるし、去年と違ったものを、という思いもあった」と明かす胸の内からは、周囲の期待を一身に背負う責任感が、2年目の不安を膨張させ、ある種の混乱を招いている様子を感じさせた。
その活躍を誰もが期待してやまない若き侍。2年目の今季、待ち受けるのはプロの壁なのかもしれないが、彼にはその壁を乗り越えられるだけの力がある。日本を代表する投手となって、球界に旋風を巻き起こして欲しい。