首都大学野球リーグの目玉は...
東海大の“1強”とも言われる首都大学野球リーグ。リーグ戦の優勝回数69回は、2位・日体大の21回を大きく引き離している。
東海大といえば、原辰徳(前巨人監督)や菅野智之(巨人)などを輩出し、プロで成功した選手も数多い。そんな首都大学野球で、今秋のドラフト候補を挙げてみよう。
最速151キロの速球を中心に、落差のあるカーブ、縦のスライダー、フォークも威力十分。2015年・春季リーグ戦の日体大戦では、46年ぶり史上2人目と完全試合を達成。内容も投球数94、奪三振8、内野ゴロ11、内野フライ3、外野フライ5と完ぺきだった。
リーグ戦の通算防御率は0.75。愛知・東邦高では2番手投手だったが、東海大進学後に実力をつけ、球速も格段にアップした。
複数のプロスカウトが注目しており、あるスカウトは「十分にローテーションに入れる投手。軸になれる」と期待。本人も「リーグ戦ではふがいないピッチングはできない。絶対にプロに行く」と豪語する。複数球団の重複指名もあり得る逸材だ。
桜美林大の佐々木千隼も、プロ注目の選手。リーグ戦通算13勝ながら、防御率は1.12と安定。都立日野高から桜美林大へ進学した。
MAX149キロのスリークォーター右腕は、2年の夏に巨人二軍戦に登板。3イニングを5奪三振、無失点に抑え、一躍注目を浴びた。
ある関係者は「球の質がよくなった」と絶賛。本人は「東海大を倒して、リーグ戦で優勝したい」と打倒・東海大を宣言した。
もしもプロ入りが実現すれば、桜美林大からは2人目。都立の星から桜美林のエース、そしてプロへ…。夢を実現できるか、秋までの期間が運命を決める。
“隠し玉”候補は国立大の152キロ右腕
また、東海大にはもう一人ドラフト候補がいる。外野手の竹内司だ。
3年春から「3番・レフト」に定着。50メートル6.1秒の俊足と遠投115メートルの強肩が持ち味で、高校時代は健大高崎の不動の1番打者として、甲子園にも出場した。あの“機動破壊”で旋風を巻き起こしたときの主役の一人である。
「1試合に2、3個の盗塁は当たり前。盗塁するな、というサインが出ていない限りは走った」と語る竹内。投手のクセを盗むことにも長けており、プロ向きというスカウトもいる。
甲子園では、12年のセンバツで4試合4盗塁を記録。群馬県大会では1試合5盗塁という記録(タイ)を作った。15年春には打率.356をマークし、リーグ4位。内野安打で率を稼ぐイチロータイプの選手だ。
隠し玉候補としては、筑波大の最速152キロ右腕・木部拓実もおもしろい。
帝京高時代から145キロをマークし、筑波大では1年春からベンチ入り。ただし、2年春以降はケガに泣き、満足に投げられない日々が続く。結局2年連続で白星なしと苦しい時期が続いた。
それでも、リーグ戦の通算防御率は2.10と安定。スライダー、フォーク、カットボールを武器に、打たせて取る投球は見事だ。プロ入りすれば、大化けする可能性も秘めている。
東京6大学、東都大学野球に比べて地味さは否めない。だが、実力者が多いのも事実だ。紹介した4選手以外にも、ひょっとしたらドラフトにかかるのではないか、という選手がゴロゴロいる。
2016年の春、そして秋のリーグ戦で「金の卵」が見つかるかもしれない。