コラム 2016.03.18. 06:30

新潟から全国へ…新潟医療福祉大の挑戦

注目リーグ「関甲新大学野球連盟」とは…


 全国各地に広がっている大学野球のリーグ戦。その中で、関東甲信越でリーグを組んでいるのが関甲新大学野球連盟だ。

 このリーグには、2013年に大学選手権で初優勝を果たした上武大や、近年プロ野球選手を輩出している白鷗大が所属し、注目を集めている。

 そんな中、昨秋に1部リーグへ昇格したのが、新潟県新潟市に位置する新潟医療福祉大だ。

 新潟医療福祉大は、新潟明訓高を計8度も甲子園に導いた名将・佐藤和也監督を迎え、2013年に創部した。

 同年秋に3部リーグからスタートし、2014年春のリーグ戦で優勝。2部へ昇格する。さらに昨年春には松本大、作新学院大との優勝決定プレーオフを制し、2部も制覇。常磐大との入替戦にも連勝し、創部3年目にして1部昇格を決めた。

 1部初参戦となった昨秋は、勝ち点1に終わって最下位に。それでも、作新学院大との入替戦に勝利して1部残留を果たした。

 今年の4月に1年生が入ると、ついに1年から4年までの全学年が揃う。中でも新4年生の左腕・笠原祥太郎は、プロのスカウトも注目する好投手だ。


監督とエースを引き合わせたドラマ


 実は、笠原と佐藤監督との縁は高校時代から続いていた。

 2012年の夏、佐藤監督が新潟明訓で指揮を執った最後の大会。この時、新潟明訓が2回戦で対戦したのがエース・笠原を擁する新津高だった。

 試合は大方の予想に反し、9回表まで新津が1点リードという展開に。「明訓がここで負けるのか…」。新発田・五十公野球場のスタンドはそんなムードに包まれていた。

 ところが9回裏、明訓はここから猛反撃を開始。無死満塁とすると、ここで笠原は押し出しの四球を与えて同点。さらに続くバッターにレフトを越すタイムリー。新潟明訓が5-4でサヨナラ勝ちを収めた。笠原はあと一歩のところで涙を呑む結果となった。

 土壇場で息を吹き返した新潟明訓は、このサヨナラ勝ちを期に勢いに乗る。県大会を勝ち進み、甲子園へ出場。2回戦では県岐阜商から勝利を挙げた。

 一方の笠原は、佐藤監督が就任した新潟医療福祉大へ進学。メキメキと頭角を現し、2年春には2勝を挙げて2部昇格に貢献。3年春にも2完封を含む3勝と結果を残している。

 昨秋の1部リーグでは、リーグ新記録となる73奪三振を記録。ストレートのMAXも146キロを計測するなど、大きく成長した。

 オープン戦で対戦したある大学の監督も、「新潟にあんな良いピッチャーがいたとは……」とその存在に驚嘆していた。

 新潟医療福祉大には、笠原の他にも好投手がいる。

 新潟明訓時代にはエースとして甲子園出場を果たし、佐藤監督とは高校時代から指導を受けている関係の竹石智弥や、新2年生ながら150キロ近いストレートを投げ込み、昨秋のリーグ戦では1試合に11者連続三振を記録した漆原大晟。

 4月に入学する1年生も、庭山巧(小出)や飯塚亜希彦(上越)など、昨年の新潟高校野球を湧かせたピッチャーたちが加わる。楽しみなメンバー揃いなのだ。

 新潟医療福祉大の目標は「大学選手権、明治神宮大会出場」。近年新潟の高校が甲子園で結果を残してきているだけに、今度は大学野球での活躍が大いに期待されている。
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