当時の落合監督から、「オレ以上になれる」と言われた素材
シーズンに先立ち行われた侍ジャパン強化試合で、打撃だけではなく、守備、走塁でも目を見張る活躍をした平田良介(中日)。改めて、平田を“走攻守”そろったいい選手だと認識した野球ファンも多かったのではないだろうか。
平田は高校時代に“浪速の四天王”と呼ばれ、ドラフト指名時、落合監督(当時)から「オレ以上になれる」と言われたほどの素材だったが、ケガなどもあり、入団6年目まではなかなか芽が出なかった。入団会見では憧れの選手にイチローを挙げ「三拍子揃って、守備とか、肩でも、足でも見せることができるので、かっこいい」と目標を語っている。
才能が開花したのは、プロ6年目の2011年シーズン。113試合に出場し、打率.255、11本塁打、38打点という成績を残した。2試合連続のサヨナラホームランや月間MVPを獲得するほどの活躍を見せ、サヨナラホームランを放った1試合目では「ホームランを狙っていました」と場内を沸かせている。
新キャプテンに就任! 狙うは「キャリアハイ」
平田は昨シーズンまで5年連続二桁本塁打を記録。後半には4番に固定される試合も増え、中日の中心選手となった。今年は、1994年の仁村徹(現楽天ヘッドコーチ)以来22年ぶりに中日にキャプテン制度が復活した。谷繁監督が直々に新キャプテンに指名したのは平田だった。「谷繁監督を胴上げする思いを胸に進んでいきます」。決意を表明した平田は責任の重さを感じたはずだ。
中日は昨年、50歳まで投げた山本昌、2000本安打トリオであった和田一浩、小笠原道大、谷繁元信とチームを支えてきたベテランが一気に引退した(谷繁は専任監督に就任)。世代交代が進み、新チームを引っ張っていくのは28歳を迎えた“平田世代”なのだ。昨年も、平田は年の近い亀沢恭平、遠藤一星とチームに得点が入った際に、テレビカメラに向けパフォーマンスをして盛り上げ役を買って出ていた。
「地位が人を作る」という言葉があるが、キャプテンという立場で、平田は人間的にも野球選手としても成熟を見せてくれるだろう。本人も契約更改の会見で誓っていた。
「チームの主役として優勝に導ける選手になりたい。全ての数字でキャリアハイが取れるようにしたい」
なかなか具体的な数字を挙げない選手も多いなかで、これ以上の力強い言葉はないだろう。今シーズン、世代交代を果たした谷繁ドラゴンズのリーダー・平田良介の爆発に期待せざるを得ない。
文=松本祐貴(まつもと・ゆうき)