日本での通算打率が.147だった前田健太
今季からロサンゼルス・ドジャースに移籍した前田健太が、デビュー戦で投打に大活躍を見せた。
6日のサンディエゴ・パドレス戦で先発し、投げては6回を5安打4奪三振、無失点に抑え、打っては第2打席でメジャー初安打となる本塁打。
ドジャースの選手で、メジャー初出場の試合で本塁打を放ったのは1990年のオフェルマン以来26年ぶり。投手に限れば、1947年のバンクヘッド以来で69年ぶりの快挙だった。
ちなみに、メジャーで本塁打を放った日本人投手というと野茂英雄が4本、吉井理人、石井一久が1本ずつで、前田が4人目になる。
日本でプレーしていたころからバッティングには定評のあった前田。通算打撃成績は436打数64安打で2本塁打。打率は.147。
二刀流の大谷翔平(日本ハム)を除き、通算50打席以上に立ったプロ野球の現役投手としては、前田の打率は8位に相当。通算100打席以上に限れば、654打数112安打で打率.171を残す石川雅規(ヤクルト)に次ぐ高打率だ。
公式戦で本塁打を打ったことがある現役投手が前田以外に13人しかいないことを考えても、前田はかなり打撃が得意な投手だといえる。
日本人ふたり目のシルバースラッガー賞なるか?
バッティングセンスの良さをいきなり見せた前田だが、メジャーと日本で投手の打撃力に差はあるのだろうか。
昨季、日本のセ・パ両リーグとメジャーのアメリカン・リーグ、ナショナル・リーグの投手の打撃成績を見てみると、以下のようになる。
<日本>
セ=打率.101(1448-147) 4本塁打
パ=打率.093(118-11) 0本塁打
<メジャー>
ア=打率.119(318-38) 2本塁打
ナ=打率.132(4431-585) 23本塁打
数字から見ると、交流戦でしか打席に立たないパ・リーグとア・リーグの投手は打撃を苦手にしている。
驚くべきは、ナショナル・リーグの投手が23本塁打も放っている点だ。打数の違いこそあるものの、1本塁打あたりの打数で見てもセ・リーグは362打数に1本塁打なのに対し、ナショナル・リーグは193打数に1本塁打の計算になる。
メジャーリーグの特徴として、パワフルな打撃をあげる人も多いだろうが、投手の打撃に関しても日本よりパワーがあると見ることができる。
そのなかでも現在、メジャー最高の打撃を見せる投手といえば、サンフランシスコ・ジャイアンツのマディソン・バムガーナーだ。昨季は投手として18勝を挙げたメジャー屈指の好左腕だが、打撃でも打率.247、5本塁打と驚異的な成績を残している。2014年にもシーズン4本塁打を記録していて、ときには代打で出場することもあるほどだ。
メジャーには、そのシーズンで最も打撃に優れた選手を各ポジションひとりずつ計9人が、各チームの監督とコーチの投票によって選出される「シルバースラッガー賞」というものがある。アメリカン・リーグは指名打者が選出されるが、ナショナル・リーグは投手も対象となっている。
日本人ではイチローが2001、2007、2009年と3度選出されているが、実は松井秀喜らそのほかの日本人選手は選ばれたことがない。
ちなみに、ナ・リーグ投手部門のシルバースラッガー賞は、ここ2年連続でバムガーナーが選ばれている。本業の投手としての成績も当然気になるが、前田には日本人選手ふたり目となる「シルバースラッガー賞」も狙ってほしい。
文=京都純典(みやこ・すみのり)