3連勝がかかる次戦はロッキーズ戦が濃厚
開幕から快投を続けるロサンゼルス・ドジャースの前田健太。全米でも注目度の高い“サンデーナイトベースボール”(日曜日の夜に全米で中継される試合のこと)で7回1失点の好投を見せ、その名を全米に轟かせた。
ここまで3試合に投げ、わずか1失点と念願のメジャーデビューから素晴らしい投球を続けているが、次戦は今週末のコロラド・ロッキーズ戦での登板が濃厚だ。
前田のここまでの3試合は、本拠地での2試合を含めていずれも“ピッチャーズ・パーク”といわれる投手有利の球場での登板だった。ところが、ロッキーズの本拠地であるクアーズ・フィールドは、メジャー屈指の“打者天国”として知られている。
標高1マイル(約1600メートル)の高地に位置するため気圧が低く、ボールが飛びやすい“ヒッターズ・パーク”であり、変化球の曲がりも悪くなるため、スライダーやカーブを駆使する前田にとって決して良い環境とはいえないだろう。
さらに、ロッキーズ打線は今季ここまで絶好調。開幕から13試合を終え、メジャー最多の25本塁打をすでに放っており、クアーズ・フィールドではチーム打率が3割を超える。(※データはすべて現地時間18日現在)
前田と新人王を争う可能性もある23歳のトレバー・ストーリーは、ホームランダービー独走の8本塁打(※クアーズ・フィールドでは3本)も放っており、好調・ロッキーズ打線を相手に前田の真価が問われそうだ。
かつての先輩たちも苦しんだ地
かつてドジャースに所属した日本人投手たちも、“マイルハイ”と呼ばれるこの地では苦戦してきた。
1995年にドジャースでデビューした野茂英雄は、2試合目にクアーズ・フィールドで登板。鮮烈なデビュー戦から一転、5回途中までに3本塁打を浴びるなど、7失点でメジャー初のノックアウトを喫した。
ちなみに通算でも10試合に登板し、3勝1敗と勝ち越してはいるものの、防御率は8.05と苦しんだ。
また、前田の先輩・黒田博樹も“マイルハイ”での初登板では、6回を投げて5失点で敗戦。通算では5試合に投げて1勝3敗、防御率5.83とこちらも苦しい投球となった。
もしドジャースの先輩日本人2人も苦しんだ地で前田が再び好投するようならば、クレイトン・カーショーとのダブルエースとしてチームを支える存在になるかもしれない。
“ノモマニア”から21年……。今度は前田健太が全米を熱狂させてくれるだろう。
文=八木遊(やぎ・ゆう)