セの防御率10傑に異変…?
今年も混戦模様となっているセ・リーグで、今年は開幕から若い左腕投手の活躍が目覚ましい。
5月17日終了時点で、防御率の上位10傑に名を連ねる左腕は実に5人。それもジョンソン(広島)を除く4人が20代前半と、今後の活躍に期待が持てる面々だ。
【防御率ランキング】※日本人左腕のみ抜粋
4位 今永昇太(DeNA/22歳) 2勝4敗 防御率1.96
6位 田口麗斗(巨人/20歳) 2勝1敗 防御率2.45
9位 石田健大(DeNA/23歳) 3勝1敗 防御率3.12
昨季、防御率10傑に入った日本人左腕といえば、6位の大野雄大(中日)のみ。2年前には大野に加えて岩田稔(阪神)、杉内俊哉、内海哲也(ともに巨人)と日本人左腕の活躍が目立っただけに、今年に入って世代交代の流れが押し寄せてきている感がある。
一方、パ・リーグの方は今季の上位10傑に左腕が一人もおらず、昨季を見てみても0人。2014年に10位に入った辛島航(楽天)を最後に現れていない。パに比べると、セの方が若手先発左腕の宝庫だといえるだろう。
“左腕不足”の危機から一転、“左腕王国”へ?
かつてセ・リーグで超エース級の活躍を見せた若手サウスポーといえば、2003年に沢村賞に輝いた井川慶(阪神/当時24歳)や、1993年に同賞を受賞した今中慎二(中日/当時22歳)、1990年代にヤクルトの黄金期を支えた石井一久などの名前が挙がる。
3人の共通点と言えば、伸びのあるストレートと切れ味鋭い変化球を駆使し、相手打者から多くの三振を奪う“ドクターK”だったことだろう。現在防御率上位に名を連ねている4人は、しばらく途切れたその系譜を継承できる資格はもっているだろうか。
岩貞と今永に関しては、1点台の防御率だけでなく、三振を奪う能力も長けている。
奪三振率(※9回を投げたと仮定した時の平均奪三振数)を見てみると、岩貞はここまでで11.51、今永は10.96と秀逸な数字を残している。
規定投球回数を満たしたセの投手で奪三振率が9.00以上を誇るのは、この2人だけ。最優秀防御率や奪三振王といったタイトルも十分に狙える力がある。
ここで名前を挙げた4人以外にも、横山雄哉(阪神/22歳)や小笠原慎之介(中日/18歳)など、その将来が嘱望される若手左腕は各球団にまだまだいる。
深刻な左腕不足が一転、左腕王国へ…?これからの数年間、セ・リーグの若手サウスポーたちの飛躍に期待したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)